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ネマタの戦術本レビュー第180回「フリー麻雀で食う 上級雀ゴロゼミ 著:雀ゴロK その30」

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三限目 講座15

 今回は読みによって押し引き判断が変わるケースです。

 読みを入れる時のコツは、面子候補を作るために残していた浮き牌だったとすると不自然な手出し牌に着目することと、読みによって得られた情報が押し引きに役立ちやすいケースを意識することです。逆に言えば、あらゆる可能性を否定しにくい捨て牌の場合や、読めたところで判断が変わりそうもない局面では下手に読みを入れない方がよいでしょう。

 今回着目するのは、一見タンヤオ狙いに見えるところからの手出しのヤオチュウ牌。浮き牌としては不自然で、面子候補の一部でもないので、今回は面子の一部、からを引いて打のスライド(今回は空切りはかえって読まれやすくなるので不自然)であると読めます。タンヤオの仕掛けに見えて実際は役牌トイツ以上の仕掛けとなると、役牌の放銃率が大きく変わるので押し引き判断にも活用しやすく、出現頻度も高いので重要です。

講座16

 相手の待ちが一点で読めるケースはなかなかないですが、押すのであれば切る牌が、当たるとすればどのような待ちになっているかを推測することは必要です。が当たるとすれば、は面子候補の一部だったことになりますが、で鳴いて出てきたが面子候補の一部であり、が1枚切れであることから、が面子候補の一部であればよりが先に切られるはずなので不自然であり、が通りやすいことが導けます。

 今回もが浮き牌ではないことに着目し、ドラがポンされているがこちらの仕掛けがきく1シャンテンなので、切る牌が通りやすいかどうか読めることが押し引き判断の役に立ちやすい局面です。

 これがの手順が逆であれば、今度こそは面子候補の一部であることが確定的です。これならは仮にリャンメンテンパイだとしても、放銃すれば満貫以上確定で、リーチに無スジを切るよりよほど放銃率が高い牌なので止めるべきです。

講座17

 今回は鳴かれていない牌から通りやすい牌を見つける読みです。鳴いた牌に比べるとどうしてもマークが薄くなるので見落としがちになりますが、鳴いて出てきた牌と同じ牌が、一つ前の手出し牌までに切られていないかについては確認しておきたいところです。

 がどのような形から切られたかについては今回は浮き牌、面子候補の一部、暗刻とあらゆる可能性がありますが、もしの前にが切られているのであれば、が面子候補の一部なので、も3枚からなる面子候補の一部(2枚からなる面子候補、例えばからの打とすると、から打でテンパイに取るはずなので除外)であると言えますが、が鳴かれていないことからのケースではないことが分かるので、から打としてカンテンパイ、あるいはから打としてと何かのシャボが濃厚となり、これらもやはりテンパイからであっても止めるべき牌になります。

講座18

 相手が信用ならないから読みは入れないと言う人も多いですが、読みの当たりやすさと、読みが外れた時のリスク、当たった時のリターンをふまえたうえで判断することをお勧めします。

 例えば講座16であれば、1枚切れの見落としや安牌になりやすい牌を残したいという理由でが先に切る打ち手もそこまで珍しくはないと思いますし、仮にそのケースだったとしたらが当たり牌であることになるので、外れた時のリスクは大きく、一方を切った場合も、引きでテンパイを逃したうえでアガリを逃さなければ損にならないのでリターンも小さいので、相手が信用ならないとみるなら一旦を切るのも手です。

 一方講座17は、ドラ役牌を鳴いた高打点の手でのポンを見落としてしまうというのは、初心者であっても考えにくいですし、読みを外してくる打ち手だとしても、わざわざ待ちのテンパイを入れずに、が入った時に待ちが読まれにくくなることを期待するとも思えません。仮にそのような極端な打ち手だとしても、が面子候補の一部でないケースはいくらでもあります。

 一方こちらはテンパイしているので、アガることで役牌ドラポンの手を蹴ることができればリターンも大きいので、例外を恐れるべきではありません。手作りや押し引きがツモ牌という抽選という不確定要素をふまえたうえで判断するのと同様に、読みもまた、ツモ牌と他家の選択という不確定要素をふまえたうえでの判断です。確定要素を中心として判断するのが基本ではありますが、不確定要素を恐れないことも、麻雀で勝つためには必要です。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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