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ネマタの戦術本レビュー第324回「現代麻雀30の新常識  著:土井泰昭・平澤元気 その12」

ネマタの戦術本レビュー第324回「現代麻雀30の新常識 著:土井泰昭・平澤元気 その12」

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命題23

 アガリたい手牌だからこそ絞るという主張は、個人的には一理あると思っておりますが、一般論として語るには成立しないケースも多いと考えます。

 まず、「今絞って手牌がアガリに近づいてから切っても、鳴かれやすさはさほど上昇しない」ことが前提として必要です。つまり浮き牌の処理が既に終わっている巡目で、役牌は持っているとすればトイツ以上であることが予想される場合です。

 序盤で浮いた役牌が不要なほどメンゼンでテンパイしやすく打点が見込める場合は、「重ねられる前に切る」べきです。

 次に、本書でも言及されている通り、絞ってもテンパイ率がさほど落ちないことが必要です。今回のように完全1シャンテン→リャンメン×2の1シャンテンとなる場合は、鳴かれる可能性が相当高いと読めなければ絞るだけ損になることも多そうです。

 アガれば高打点が確保されているような2シャンテンであれば、多少受け入れを狭めて絞り、メンツ候補を外すにしても鳴かれない牌を切るといったケースも結構ありそうです。

 もう一つ、自分がアガれなかった場合の結果が、放銃と横移動、被ツモでどの程度差があるかも判断に関わります。他家に鳴かせると自分のアガリ率が落ちるのは確かですが、鳴かれる牌を絞るとポンでは済まずロンされてしまうリスクがあります。

 よって、こちらは高打点だがアガリまではあまり早くない、鳴き手は役牌後付けの可能性が高く、振っても安いが役牌をポンされればほぼテンパイといったケースでは、役牌を絞るのが有力になることが多そうです。

 ロンされなければいいと鳴かれやすい牌をすぐに切り飛ばすことが多い方は、本当に絞るのが損なのか今一度検証されることをお勧めします。

 逆に役牌を絞って、安手の他家の手を止めてしまい、結果的に高打点の他家にアガられてしまうことも避けたいところです。

 個人的には絞るつもりはなくても、アガるために何とか役牌を重ねようとして他家の高打点アガリを成就させてしまうミスが結構あるので、アガリ目が薄い局面で安手の他家にアガらせるという選択を改めて意識する必要があると感じさせられました。

命題24

 片アガリリャンメンと通常カンチャンの比較ならもちろん後者有利ですが、片アガリかどうかで判断が変わること自体はそれほど多くはなさそうです。

 重要なのは片アガリそのものというより、メンゼンなら良形残りなのをシャンテンが進むからといって、通常カンチャンより弱い片アガリを残してまで鳴くべきかどうかにあります。

 本書175pの手牌であればは鳴きますが、これがでなくであれば、鳴くと満貫テンパイとはいえ、リャンメン×2の1シャンテンと片アガリ待ちなら序盤はさほどアガリやすくなっているとは言えず、メンゼンなら跳満以上になる可能性もあるので巡目が早いうちは基本スルーします。

 片アガリを過小評価することはありませんが、それ以前にメンゼンを過小評価しないように注意したいですね。

本記事に関するご紹介

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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