麻雀のローカル役とは、文字通り特定の地方や場所でのみ認められている役のことだ。日本で行われている一般的な麻雀では、37種類の役が存在する。これらとは別に採用されるローカル役は、多くの人が一般の役と勘違いするほどポピュラーなものからマイナーなものまでさまざまだ。本記事では、普段の対局で遭遇することの多いローカル役を中心にご紹介しよう。
ローカル役とは?
麻雀のローカル役には特定の地域だけでなく、ある団体や組織の中だけで認められているものも含まれている。慣れない環境における対局では、オープンリーチをはじめとしたローカル役を採用しているか、といった確認が必要だ。その際にローカル役だけでなく、鳴いた場合のタンヤオ(喰いタン)の有り無しなど、役以外のローカルルールについても合わせて確認するのがよいだろう。
世界共通の規則が定められているスポーツとは違い、麻雀には統一されたルールがない。麻雀は中国から伝わり、日本全国で親しまれながら独自の進化を遂げてきた。それゆえ、数多くのローカルルールやローカル役が現在も存在するといった形だ。統一ルールの制定が望まれる一方で、麻雀の多様性や懐の広さを示す存在でもあるローカル役は、現在も多くの麻雀ファンに親しまれている。
代表的なローカル役
ローカル役の中には、雀荘やオンライン麻雀ゲームといった場で広く採用されているものも存在する。ここでは、比較的耳にする機会の多いローカル役をご紹介しよう。
オープンリーチ
リーチをする際に自分の手牌と待ちを公開することで、本来1翻であるリーチが2翻役となるのがオープンリーチだ。公開の方法もルールによって異なり、待ちの部分だけをオープンする場合と、手牌すべてをオープンする場合の2種類がある。
オープンリーチをするとロンが実質不可能になるため、多面待ちでツモアガリが期待できる場合に使うのが効果的だ。また、オーラスに「満貫ツモ以上で逆転トップ」などの条件がある場合にも有効である。麻雀バラエティー番組の『THEわれめDEポン』でも採用されており、芸能界の猛者たちがオープンリーチを織り交ぜた高打点をたたき出す姿を見ている方も多いのではないだろうか。
流し満貫(ながしまんがん)
流し満貫は、ローカル役のなかでも特に高い採用率を誇っている。手牌の形ではなく捨て牌が成立条件となる珍しい役で、流局時に自分の捨て牌がすべて「数牌の1・9か字牌(么九牌)」だった場合に成立する。しかし、自分が捨てた牌を他家に鳴かれた時点で無効となる点に注意が必要だ。
大半のオンラインゲームでも採用されており、流し満貫ありのルールが主流であるといっても差支えないだろう。ただし、プロ団体や競技麻雀においては採用されないケースも多い。
三連刻(さんれんこー)
のように、同色で3つ続く刻子をそろえる2翻役が三連刻だ。認知度が比較的高いローカル役ではあるが、近年では三連刻を役として認めているプロ団体やオンラインゲームはほとんど存在しない。三連刻が採用される場合は、連続する刻子がさらに一つ増える四連刻(すーれんこー)も役として認められ、こちらは役満となる場合が多い。
ルール上役満とはならなかったものの、Mリーグにおいて滝沢プロが四連刻の形でアガリを決め、大きな話題を呼んだ。
ローカル役満
ローカル役の中には、なんと役満として認められるものも存在する。ここでは、そんなローカル役満のなかでも特に有名な3つの役についてご紹介しよう。
大車輪(だいしゃりん)
大車輪は役満として扱われるローカル役の代表格だ。その美しい牌姿から、一度はアガってみたいローカル役として認識している方も多いだろう。筒子の2から8を2枚ずつそろえる大車輪は、役満扱いされない場合でも三倍満が確定している(チンイツ・二盃口・タンヤオ・平和)。他の役やドラが絡めば、数え役満になる可能性も十分にある。
八連荘(ぱーれんちゃん)
八連荘は、アガリの形とは違った条件で成立するローカル役満だ。その名の通り、同じプレイヤーが8回連続でアガった場合に役満となる。条件はルールによって異なり、親番に限定する場合とどの時点からでも認めるケースの両方が存在する。いずれの場合でも、8回目のアガリは必ず親番となっているため、八連荘が成立すれば親の役満48,000点が確定となる。
8連続の解釈にも違いがあり、連荘の途中で流局をはさんでもよい場合と純粋な8連続アガリしか認めない場合が混在している。4回5回と連続アガリが出てから八連荘の話題となり、プレイヤー間でもめることもあるため注意が必要だ。
人和(レンホウ)
子のプレイヤーが配牌でテンパイした場合に、自分のツモ番が来る前にロンアガリするのが人和だ。子が第一ツモでアガる地和(チーホウ)と同じく、アガリの前にポン・チー・カンがあった場合は成立しない。
人和は、ルールによって特に扱いが異なる役なので注意しよう。役満には至らないものの、倍満・跳満・満貫のいずれかが成立すると決めている場合から、人和という役そのものを認めない場合までさまざまだ。人和が認められていなければ、役なしのテンパイだった場合はチョンボになってしまうので細心の注意が必要だ。
ローカル役の世界は奥深い
今回はポピュラーなローカル役を中心に紹介してきた。遊び心やインパクトたっぷりなネーミングの役も多く、ローカル役に思い入れのある方も多いだろう。こうした役があるのは麻雀が広く親しまれていることの証しともいえる。卓を囲んだメンバーが認めれば成立するのがローカルルール、ローカル役だ。仲間どうしで麻雀を楽しむ場合には、アクセントとして取り入れてみるのも楽しいかもしない。