麻雀の華であり、数ある麻雀役の頂点に君臨するのが「役満」だ。Mリーグなどプロ雀士による公式対局やオンラインゲームで一般的に採用されている役満は全部で12種類。アガれるか否かは運に大きく左右されるものの、チャンスがあれば誰しもがアガってみたいことだろう。今回は、それぞれの役満の特徴やアガリ方をご紹介しよう。簡単にでも概要を抑えておくことで、「これは役満が狙えるかも…?」と気づけるシーンも増えるはずだ。
比較的狙いやすい役満
はじめに、役満の中でも遭遇する機会の多い3種類をご紹介しよう。Mリーグ発足以降の4年間で記録された役満は実はこの3種類しかない。「役満をアガったことがない」という方は、まずこれらを覚えるのがおすすめだ。
国士無双(こくしむそう)
国士無双は数牌の1と9、7種類の字牌をすべて1枚ずつそろえ、どれか1種類を2枚集めるという、非常にユニークな役満だ。その特殊な形から、一度国士無双に舵を切ってしまうと通常のアガリ形を目指すのは非常に困難という欠点も。配牌の段階で一九字牌が多く、4面子1雀頭を作るのが難しいと判断した場合に狙ってみるのがよいだろう。字牌を多く集めるため七対子と相性がいい、守備力には困らないといったメリットがある点も見逃せない。
Mリーグ史上初役満となった、佐々木プロの国士無双はこちら↓
四暗刻(スーアンコウ)
四暗刻は文字通り4つの暗刻と雀頭をそろえる役満で、最も出現率が高い役満といわれている。暗刻3組と対子2組の形でテンパイするケースがほとんどだが、この時点ではまだ四暗刻は確定していない。ツモって暗刻を4組とした場合は役満だが、ロンの場合は「三暗刻・対々和」で4翻となるため注意が必要だ。
伊達プロの四暗刻はこちら↓
大三元(だいさんげん)
大三元はの三元牌をすべて刻子としてアガる役満だ。鳴いてもOKで三元牌以外の形は問わないため、役満のなかでは自由度があって出現率も高い部類に入る。難易度は非常に高いものの四暗刻や字一色といった他の役満と複合することもあるため、ダブル役満を狙える点も見逃せないポイントだ。
Mリーグでアガリが決まった大三元はこちら↓
難易度の高いレア役満
ここからは、放送対局を含めてもなかなかお目にかかることができないレアな役満をご紹介していこう。アガリを決めることができれば、点数以上の喜びを得られること間違いなしだ。
字一色(ツーイーソー)
字一色はその名の通り、字牌だけで手を仕上げることで成立する役満だ。門前でなくてもOKで大四喜・小四喜・大三元との重複も認められる。ちなみに7種類の字牌をすべて2枚ずつ、七対子の形で揃えた場合でも字一色となり、これを大七星(ダイチーシン)と呼んでダブル役満とする場合もある。
浅香唯さんの字一色はこちら↓
小四喜(ショウスーシー)
小四喜はの風牌のうち3種類を刻子にし、残る1種類を雀頭とした場合に成立する役満だ。鳴いてもOKで、残りの1メンツは刻子でも順子でも構わない。また、後述する大四喜と合わせて四喜和(スーシーホウ)と呼ばれることがある点も覚えておくとよいだろう。
丸山プロの小四喜はこちら↓
大四喜(ダイスーシー)
大四喜はすべての風牌を刻子にしてアガると成立する役満だ。小四喜と比較して難易度が高くなるため、大四喜をダブル役満とする場合もある。雀頭はどの牌でもOKだが、字牌だった場合は字一色と重複することを覚えておくとよいだろう。
朝倉プロの大四喜はこちら↓
緑一色(リューイーソー)
緑一色はその名の通り、手牌を緑色に染め上げてアガることで成立する役満だ。厳密には、で構成された手を完成させることが条件となる。ちなみに、同じ索子でもは図柄に赤い部分が含まれているため使用できないので注意しよう。鳴いてもOKで、を使わなくても役満として成立する。また、テンパイ形は全て緑色でも、待ちにが含まれる清一色となるケースもあるため、フリテンには十分に気を付けたいところだ。
清老頭(チンロウトウ)
清老頭は数牌の1と9だけを使用してアガった場合に成立する役満だ。使えるのがに絞られているため、役満のなかでも非常にレアな存在として知られている。全部で6種の牌しか使えないため、七対子の形では成立しない点に注意しよう。アガった場合は必ずトイトイ形となるため、四暗刻とは重複する可能性がある。
鈴木たろうプロの清老頭はこちら↓
四槓子(スーカンツ)
四槓子はカンを4回行ったうえでアガると成立する役満だ。カン3回で成立する三槓子すらめったに出現しないこともあり、最も仕上げるのが難しい役満といってもよいだろう。カンの方法には3通りあるが、暗カン・大明カン・加カンのどれでも問題ない。カンを4回するため、必ず裸単騎待ちとなるのが特徴だ。
九蓮宝燈(チューレンポウトウ)
九蓮宝燈は門前チンイツのうち、一定の条件を満たした形とすることで成立する役満だ。その条件とは数牌の1と9を3枚、2から8を1枚ずつという13枚に加えて1~9のいずれか1枚を加えた形とすることである。究極の役満であるがゆえに、麻雀小説や映像作品などでは「九蓮宝燈をアガったら死ぬ」という迷信もあるほどだ。
「ミスター麻雀」小島プロの伝説の九蓮宝燈はこちら↓
配牌で完成する役満
最後は狙ってできるものではない「完全運頼み」の役満2種を紹介しよう。
天和(テンホウ)
天和は親の配牌の時点で、アガリの形がすでに出来上がっていた場合に成立する役満だ。役なしの形でも問題なく、4面子1雀頭でも七対子でもかまわない。親番の配牌時点にしか成立しないため、確率は約33万分の1と全麻雀役の中でも群を抜いて低いものとなっている。
世界初!生放送対局にて炸裂した天和の動画はこちら↓
地和(チーホウ)
地和は配牌でテンパイした子が第一ツモでアガった場合に成立する役満だ。形を問わないのは天和と同じだが、第一ツモの前に他家によるチー・ポン・カンが入ると無効となってしまう点に注意しよう。また、ローカル役ではあるが、第一ツモの前にロンアガリした場合は人和(レンホウ)という役が成立する場合がある。
佐々木プロの地和はこちら↓
役満には点数や確率を超えた魅力がある!
今回はすべての役満についての簡単な解説をお届けした。比較的アガりやすいといわれる四暗刻、国士無双、大三元から天文学的な確率となる天和まで、同じ役満でも発生率はさまざまだ。しかし、役満には点数や確率を超えた魅力があるのも事実である。点数以外に「ご祝儀」がやり取りされる慣習があるのも、役満に満貫4回分以上の価値を認めているからこそといえるだろう。千載一遇のチャンスを逃さないためにも、各役満の特徴だけはしっかりと押さえておきたいところだ。