今回は形テン(形式テンパイ)について考えます。
手牌の価値は巡目によっても変わりますが、その大きな要因は流局時テンパイ料の存在にあります。例えば満貫1シャンテンと役無しテンパイ、1巡目であれば圧倒的に前者の方が、「よい手」ですが、18巡目であれば後者の方が「よい手」であることは明白です。
また、10巡目の良形1000点テンパイと10巡目の役無しテンパイなら前者の方が「よい手」ですが、10巡目の良形1000点テンパイと18巡目の役無しテンパイなら後者の方が「よい手」です。10巡目の良形テンパイのアガリ率より、18巡目時点での流局率の方が明らかに高いですからね。流局時にテンパイ取れるかどうかで3000点差がつくと考えると、テンパイ料も貴重な収入源です。アガリを目指す技術に比べるとどうしても地味なので、巡目に応じた、「手牌の価値」を意識していないと見落としがちですね。
1シャンテンから鳴いて形テンを狙う基準
とりあえず麻雀研究始めてみました - 形テンその2・面前一向聴との比較
メンゼンでテンパイしやすく高い手ほど遅くまでアガリを目指し、そうでない手ほど早い段階から形式テンパイに取ります。シミュレーションの結果から、鳴くと役無しになる満貫手の完全1シャンテンのようにできるだけメンゼンでアガリを目指したい手でも、15巡目以降は形テンに取るのが有利になり、逆に悪形×2の1シャンテンでテンパイしてもリーチのみになる場合でも、形テン取りが有利になるのは11巡目以降です。
ただし、シミュレーションの結果は他家の動きが無いことが前提であることに注意が必要です。実戦では終盤で他家のテンパイが入っていないことは少ないですし、形テンを目指すにしても、鳴いてそのまま形テンに取るよりも、失点のリスクがより低くなるように形テンを狙う選択の方が有力になる場合もあります。他家の鳴き手に対応するのが苦手な方は特に注意したいですね。この辺りは「押し引き」の領域になるので、「押し引き判断」の補足に入る際に改めて取り上げることにします。
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