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画家・秋山雅貴「麻雀は私をとがらせてくれる“砥石(といし)”のような存在」マージャンで生きる人たち第46回

画家・秋山雅貴「麻雀は私をとがらせてくれる“砥石(といし)”のような存在」マージャンで生きる人たち第46回

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 石川県金沢市にアトリエを構える油絵作家の秋山雅貴さんが、EX風林火山4選手の肖像画を描き、その圧倒的な迫力と描写力は、チームサポーターだけでなくMリーグファンの間でも話題だ。ビジュアル制作や広告デザインを手掛ける株式会社aQ-studioの代表でもある秋山さんは、サッポロビールが年末年始に限定販売している『福ヱビス缶』のデザインを担当する等、その世界観はさまざまな分野から注目されている。そんな秋山さんの趣味は麻雀。アトリエに全自動卓を置くほどの愛好家だが、アートの世界と麻雀にどんな関連性があるのか、話を聞いたーー。

EX風林火山の4選手を描くことになったきっかけは?

「EX風林火山さんのスポンサーでもある美容系の会社『HUGO(ユーゴ)』さんが、2024年11月に愛知県名古屋市でパブリックビューイング(PV)を屋外開催すると決まった時、HUGO代表の方と弊社の共同代表でもある永井拓人が知り合いだったという縁があり、PV企画のひとつとしてライブペイント(※)をやってみませんか?という話が出たことがきっかけです。個人的にもMリーグファンだったので、事前打ち合わせに二階堂亜樹選手の肖像画を描いて持っていきました。それを見たEX風林火山の藤沢晴信監督がすごく喜んでくださり、4選手全員の肖像画も描かせてもらったという経緯です」

※短時間でひとつの作品を完成させるアートパフォーマンスのこと

EX風林火山4選手の直筆サイン入り肖像画複製原画はAmazonで絶賛発売中

ライブペイントではどんな段取りで描かれたのでしょうか?

「普段の制作もライブペイントも、まずはキャンバス全体に迫力が出るように奇抜な色をベースに置いて、絵の具をぐちゃぐちゃに散らすことから始めていきます。その上に人物を描いていくのですが、EX風林火山4選手の場合は、華やかさのある二階堂瑠美選手と亜樹選手。そして姉妹をしっかり支える土台というか、強固な柱のような存在である勝又健志選手と松ヶ瀬隆弥選手という自分が抱いていたイメージを構図にし、チームカラーの赤が効果的に見えるよう縦横160㎝の大きなキャンバスに配色していきました。4選手の表情は、対局にのめり込めば込むほど卓上に目線がいく気がしていたので、Mリーグでトップを取った時や高打点のアガリを決めた時に見せた印象的な伏せ目がちの表情をスマホにピックアップし、PV会場ではそれを見ながら描きました」

PV終了までの4時間ほどで仕上げたライブペイント。出来上がった作品を囲んでお客さんと記念撮影する時が嬉しい瞬間だそうだ

秋山さんの画風をひとことで言うと?

「カッコいい作品を目指しています。カッコいいという概念は人によって感じ方が違うと言われたことはあるのですが、それでも私はカッコいい絵を目指して描いています。技術的に言えば、私の中でのカッコいいとは迫力と描写力の2点が伴っていることです。迫力を損なわずに、少ない手数で何を描いているのかわかるぐらいモチーフを理解した描写力をともなった絵。カッコいい作品を目指す根幹には、モテたいという気持ちがあるんですよね(笑)。カッコいい絵を描いている人=カッコいいという感覚があるので、絵で伝えられるカッコよさとはどういうことなのかを考えながら描いていく中で、行き着いたのが今の画風です」

絵を描き始めたのはいつ頃だったのですか?

「小学校1年生の頃に機動戦士Zガンダムの『ガンダムMk-II(マーク・ツー)ティターンズ仕様』のプラモデルを見た時に、黒っぽくてカッコいいロボットだなと思って、いとこのおばさんにおねだりして買ってもらったことがありました。以来、プラモデルのパッケージのガンダムを模写したり、好きなガンダムを描くことが楽しかったので、ガンダムMk-IIとの出会いが原点というか、今の仕事につながるルーツになっている気がします」

幼少期は工作が大好きだったという秋山さんは、兄と姉の3人兄弟で育った

影響を受けた画家はいますか?

「今の画風はジョージ・ルーカス監督が自ら依頼した海外アーティストたちによる『スター・ウォーズ展』に影響を受けています。展示会には映画の登場人物たちをカッコよく描いていたアート作品が展示されていたのですが、こういう絵を描きたいなとインスピレーションを受け、真面目に絵を描き出しました。それまでは油絵作家になりたいというより、大学に入って教員免許を取得して美術の先生になれたらいいなと思っていたんですよね」

ヱビスビールのデザイン缶『福ヱビス缶』を描くことになった経緯は?

「金沢美術工芸大学大学院の修士課程中に今の会社を立ち上げた2021年。当時、石川県が『いしかわ百万石文化祭2023』というイベントに補助金を出してくれることになっていたので、会社としてそのイベントへの出展を目指して北陸3県の若手アーティストの支援を目的としたグループ展『HART PROJECT2023』に取り組んだことにさかのぼります。その北陸プロジェクトに気づいてくれた広告代理店のご担当者の方が『福ヱビス缶』にアートを取り入れるにあたって、能登半島地震で被災しながらも北陸で頑張っているアーティストはいるはずだと、候補者の中のひとりとして名前を挙げてくれたことがきっかけでした」

『福ヱビス ART GALLERY』が開催されたMIYASHITA PARK(東京都渋谷区)で株式会社aQ-studioの仲間と喜びを分かち合う秋山さん(中央)

「発売にあたってはサッポロビール様と弊社で『福ヱビス ART GALLERY』も共同開催させて頂きました。起業した時に取り組んだ北陸プロジェクトから2年の間には能登半島地震で被災しましたが、福ヱビス缶のおかげでアートギャラリーに北陸のアーティストが再び結集できたことは、横のつながりもさらに強くなった気がしています」

麻雀を始めたのいつ頃だったのでしょうか?

「大学院に進学した25歳の頃でした。コロナ禍で休校となり、やることも無くなってしまった時、麻雀ができる友人から、やればハマると思うよと言われたので、じゃあやってみようと。役や点数など覚えることがたくさんあるので、敷居が高いと感じていたんですが、教えてもらいながら始めたらめちゃくちゃハマって、毎日のようにアトリエで手積み卓でやるようになりました。2024年には石川県内の公募展『第80回現代美術展』で最優秀賞を頂いたんですが、その賞金で全自動卓まで購入しちゃいました(笑)」

画家から見た麻雀牌の印象は?

「牌を初めて持った時、図柄と形がかわいいなと感じました。触った感触もすごくよく、混ぜた時のカチャカチャという音も心地いい。数牌の中でソーズだけはあきらかに意図して装飾が入っていて、特に[8]がビジュアル的に好きですね。麻雀仲間からは、また[8]待ちちゃうん?なんて言われることもあるぐらい好きです(笑)」

麻雀が作品に活きたことはありますか?

「仕事柄、アトリエにいる時間が多いので、多い時は仲間と週3回ほど1日4半荘と決めて、Mリーグさながらにポイントを競い合いながら楽しんでいます。私は攻めたい気持ちが強いので、鳴き仕掛けが多いのですが、絵柄的にも攻める作品が多いところは麻雀とリンクしていると周りから言われたこともあります。画風も売り込み方も、受け身でいては仕事は回ってきません。仕事に関してもやれます!やれます!と攻めのスタイルを維持継続できているのは麻雀のおかげなのかもしれません」

好きなことを仕事にするためには?

「好きなことをするだけじゃなく、味方作りをすることが大事だと思います。愛嬌の良さと絵を描くことしかできない私が、絵を描いてそれを仕事に出来ているのは、自分だけの力ではありません。幼馴染で営業面や経理面をサポートしてくれている共同経営者でもある永井拓人の存在。実家が貧乏だったので学費も全部自分で働いて出していたんですが、お金は出せないけど、なんでも全力で応援するよと背中を押してくれた家族の存在。アートの世界では、自分ひとりの決意で世に出られる人はなかなか少なくて、そんな中で思うようにやってみなさいと味方がいてくれたことは、自分の心も救ってくれたし、本当に大きかったです」

株式会社aQ-studioで共同代表を務める永井拓人さん(左)とは幼馴染。artに対するQuestionに応え続けるという思いが社名に込められている

秋山さんにとって麻雀とは?

「麻雀は私をとがらせてくれる砥石(といし)のような存在です。ゲームならひとりでもできますが、私は人とリアルに対戦して勝つか負けるかに喜びを感じています。感情もシビアに出るし、運の要素も絡んでくる。自分の感性を覚醒させてくれる要素があるので、砥石のような感じですね」

インタビューを終えて

2025年2月、東京ドームシティホールで行われた『Mリーグ2024-25プレミアムナイト』のEX風林火山の物販ブースでは、異彩を放つ秋山さんの作品の周りに人だかりが出来ていた。「Mリーグファンの方からはカッコいいという感想を頂いたり、他チームの選手や監督さんからも、描いてほしいといった声を頂けて、作家としてもモチベーションが上がりました」とはにかむ秋山さん。アートを通じて企業やブランドの魅力を引き出している秋山さんによって、もしもMリーガー全選手の“カッコいい”肖像画がコンプリートされれば、Mリーグファンにとってはこの上ない喜びになるに違いない。

◎画像提供:株式会社aQ-studio/インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

秋山雅貴(あきやま・まさき)プロフィール

1995年11月20日、岡山県生まれ奈良県育ち、A型。金沢美術工芸大学大学院絵画専攻 修了。油絵作家。株式会社aQ-studio代表。主な受賞は『第80回現代美術展(石川)』最優秀賞、『第59回関西国展(京都)』新人賞。好きな牌は[8]

 

関連リンク

EX風林火山オフィシャルサイト

株式会社HUGOオフィシャルサイト

株式会社aQ-studioオフィシャルサイト

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