- 『ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第九期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第八節二回戦A卓
▼対局者
Ⓟ松ヶ瀬隆弥
タケオしゃん
就活生@川村軍団
Ⓢ福地誠
東1局1本場
3枚切れペンではリーチに押せませんが、現物を抜いても次に切ることになる牌はスジで場に1枚切れの。それなら先にから切ってアガリ目を残します。
再度テンパイしましたがフリテン。がどの程度残っていれば、フリテンでも追いかけリーチが有力になるのか気になるところです。
結果的には次巡東家のアガリ牌を止めたうえにフリテンが解消されシャンポンリーチ。一発で北家から出アガリして跳満。安易に現物を抜かなかったことが功を奏しました。北家はここからはベタ降りせざるを得ない以上、よりのアンコ落としが先でしたね。
南4局2本場
オーラス僅差のトップ目。ほぼ鳴いて手を進める形なのでクイタン狙いでトイツ落としとしますが、456、567の三色ならがあっても仕掛けてアガれることもあり、中張牌の中ではメンツがつくりにくい28牌のうえ、重なっても鳴きにくいドラくらいは先に切ってそうです。
ツモならリーチしてアガれば確定トップ、ドラツモもカンでリーチを打つ選択を残すに越したことはないのでから切ります。
鳴いて1シャンテンに取る一手ですが、手牌だけで判断するなら比較的鳴きやすいポン、チーでリャンメンテンパイに取れるように鳴いて打とします。河と点数状況的にを切ってもを持っていることは読まれそうで、下家に鳴かれて逆転手を成就させる可能性があることを踏まえると切りはやり過ぎでしょうか。
本譜では鳴いて打。多少アガリ率に差が出る1シャンテン同士の比較なら、低確率でも東家のダマテンに振ってラス落ちのリスクを避けたいという意図があったのかもしれませんが、結果的にはを切っていればアガれていました。
東家のリーチ一発目。テンパイかつ安牌無しとなれば押すよりないですが、でもアガれる代わりに東家に放銃するパターンが多いとのどちらを切るのか。私としては通っていないスジが多く、第一打なら待ちは薄い(なら別のヤオチュウ牌が切られやすいため)と勝手読みしてを押してしまいそうですが、カンチャンとリャンメンの比較ならともかく、リャンメンとリャンメン+2枚の比較なら、待ちを狭めても放銃率が低い牌を選ぶのが自然です。
結果的には東家からが出てアガリ逃したところにツモ。リーチ宣言牌のはドラなので浮き牌の可能性も否定はできず、雀頭のケースもありますが、それでもは危険牌の筆頭。先ほどよりは待ちも絞れて巡目も深いとなると止めてしまいそうになります。
しかし赤ドラが全て見えているので、で振っても裏ドラが乗らなければ5800は6400止まりであることが多く、それならラスまでは落ちません。降りて流局でも南家テンパイなら着順が落ちるとなると迷うところではあります。
しかしながら無情にも裏が乗り、トップとラスが入れ替わる大逆転劇が起こりました。西家は選択次第でトップを維持できていたのですが、トップを維持できた選択が本当に正しかったと言えるのかは難しいところであります。