- 『ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第九期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第八節四回戦A卓
▼対局者
就活生@川村軍団
タケオしゃん
Ⓢ福地誠
Ⓟ松ヶ瀬隆弥
東1局
現物がのみとはいえ、チートイツ1シャンテンで受け入れ枚数が1枚差だけとなればを切りそうなところ。しかし下家がを押してきているので現物待ちテンパイの可能性も少なからずあります。先行リーチ者より、ダマで押してきている他家にドラが固まっている可能性が高いことも踏まえると、現物を抜いて振るくらいなら自分の手牌都合でくらいは切るというところでしょうか。
しかしそので12000放銃。も当たり牌でしたが振っても1000止まり。下家の押しを確認出来ていたが故に結果的には裏目に出てしまいました。
東3局0本場
アガリがかなり厳しい形からをチー。この手がアガリに結びつくとすればチャンタ、ピンズホンイツ、役牌あたりで、どの役も消さずに悪形ターツを処理できる鳴き。他家の手牌進行を抑止する効果については、高打点の他家にだけ押されると裏目なので一長一短ですが、少しでもアガリのチャンスを残せるならそれに越したことはないといえる仕掛けです。
234三色もあるので基本はですが、対門の仕掛けからピンズが場に高く将来危険になりやすいとみてピンズカンチャン落とし。しかし対門はを持っておらずアガリにもかなり遠い。遠い仕掛けは抑止効果だけでなく、手牌読みでミスリードさせることで他家のアガリ率を落とす効果も期待できます。
配牌5シャンテンの手がまさかの一通ドラ3テンパイ。しかも東家がこちらの仕掛けに対応してピンズを1メンツかぶる展開。これでを引ければ最高でしたが、東家が三暗刻をツモって6000オール。手段を尽くして勝ちの目が残る展開に持ち込んでも報われるとは限らないのが麻雀の厳しいところです。
南1局1本場
東家のポンを受けてカン落とし。がポンされなければ残すことのないにくっついけてテンパイを入れることができました。東家はホンイツ、トイトイから逆転トップの12000になる変化もあるので当然のポンですが、選択の是非は別として、整っている仕掛けほど他家に正しく対応されやすく、遠い仕掛けほど他家をミスリードしやすいというのも鳴き判断の難しいところです。
親でテンパイとはいえ役牌ドラ1の後付けでを押すのは厳しいので現物を抜きますが…
アガリを逃した恰好になりましたが、危険牌を引いてもマンズ連打で降りきれる以上、フリテンかつカンチャンの超悪形でも僅かにでもアガリ目を残すに越したことはないとみてをポンします。テンパイから危険牌を止める場合は、その危険牌にくっついて再度テンパイに取れる可能性が少なからず残るということを意識しておきたいですね。
ここで東家がをツモるようなら熱い展開になっていましたが、西家が押さざるを得ないラス目の南家からアガって裏3の満貫。トップを決定づけるアガリとなりました。ここでラスを引いたタケオしゃんが足切り。トップを取った福地氏は更にポイントを伸ばして、優勝に向かって大きく前進しました。