命題1
本書ではリスクとリターンのバランスを全体成績の和了率、放銃率から算出されていますが、判断の際に参考にすべきなのはあくまで、現状の手牌、局面でリーチした場合の和了率、放銃率です。そのうえでは、先手リャンメンはもちろん、先手カンチャンや後手リャンメンですら、のみ手でリーチを打つのは一般的に損とは言えません、(「鉄押しの条件」でも取り上げられています。)
体感との違いは、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第3回では、「人は珍しいことほど印象に残りやすいので、高確率で起こることを実際より低く、低確率で起こることは実際より高いと感じてしまう」ことにあるとしましたが、「人は目に見えない情報(他家のチャンス手を阻止できた)より目に見える情報(追いかけリーチに放銃してしまう)を重視する」「損失の可能性が起こるだけで損失と感じてしまう(放銃しなくても追いかけリーチをかけられただけでヒヤリとしてしまう)」ということでも説明がつきます。麻雀は確率のゲームだからこそ、体感はあてになりません。
命題2
先制ピンフのみという条件だけでは、「相手のリーチが入った時に、待ちを100%読める超能力」を持っていたとしても、「リーチ有利」という結論を覆すのは難しいです。
・参考リンク
https://togetter.com/li/117092
加点のメリットが特に低い、放銃のリスクを特に避けたいという状況下以外では、ダマ寄りの要素が相当揃わなければ先制ピンフをダマにすることは無いといってもよいでしょう。
とはいえ、「先制ピンフのみダマ」は損と言っても、損をするのは実際に先制ピンフでテンパイした場合だけです。麻雀は先制ピンフでテンパイすることより、危険を察知して放銃を回避すべきことの方がずっと多く、結果にも大きな影響を与えます。
先制ピンフも「鉄リーチ」と考えて構いません。ほとんどの手はリーチのつもりで打っていたとしても、それでもリーチを打つべきか迷う手牌、局面になることは実戦ではそれほど珍しくはないのです。
そのような局面でもリスクを顧みずにリーチを多用する打ち手よりは、時には損なダマテンもするが放銃を回避すべき局面で確実に回避する打ち手の方が実力で勝ることは間違いありません。データという形で結論が出るまでは、ピンフのみをダマという考えが根強かったのもそのような事情によるものと思われます。
本記事に関するご紹介
平澤 元気 (著)
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