- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第3章
Q7
「子の悪形リーチのみ」「親から追っかけリーチ」「4枚目の西は完全安牌」。ここまでカンしない側が有利な条件が揃ってようやくしない方がやや有利という結果になりました。
とはいえ、「リーチ後にアンカンできる牌をカンしない」という発想がそもそも無かったという方も案外多いのではないでしょうか(『おしえて!科学する麻雀』ではMJの上位プレイヤー2人の打ち筋データが掲載されていますが、両者ともリーチ後アンカン率は100%です。)。利用頻度は低いですが、今回の問題はこれまで取り上げられることが少なかった問題で、明確な基準が分からなかったので特に参考になりました。
Q8
データ研究の走りである、『科学する麻雀』は赤無し(東風荘)基準であったため、赤有りルールにおけるデータをまとめた戦術書は本書の前前作、『統計で勝つ麻雀』を待つことになりました。
『科学する麻雀』が発売された頃には、オンライン麻雀も主流は赤有りになりつつあったので、今回の問題は何かと議論になることが多かったものです。
私の主観になりますが、当初はカンチャン同士のアガリ率の差があまり意識されていなかった、モロスジが危険になること自体はデータが無い頃から特に意識されていたという理由からカン5に受ける人が多く、カンチャン同士のアガリ率の差が意識されるに従ってカン7派が主流になったように見受けられます。
今回カン7有利という結果になりましたが、微差なので赤に5000点相当の祝儀が有る場合や、赤5が2枚ある場合はカン5に受けた方がよいとみます。ただ、そのようなルールであれば、他家も468からは8を切ってくると読んでくるから7が出やすくなるという見方もできるので、いずれにせよケースバイケースになりそうですね。
Q9
鳴くとツモ番を1回飛ばすことになりますが、カンチャン待ちをリャンメン待ちにできるなら鳴いた方がよいでしょう。
ただし、1フーロテンパイのカンも、リャンメンリーチと同程度にアガリやすく、スルーしても手変わりがあることを踏まえると、「鳴くことで警戒され待ちも絞られやすくなる」というのが事実であれば、スルーした方がよいとも考えられます。
クイタンに見える仕掛けにもかかわらず手出し、ドラが白となれば、確かにドラ持ちを警戒されやすそうではあります。とはいえ、がアンコでなおかつ待ちとまで絞ることはこの条件下では難しく、全員がそこまで警戒するとは限らないことから、判断が変わるほどではなさそうです。鳴いて同色の牌が切られたケースは食い伸ばしが想定されやすいですが、今回はからのチーもあります。ただ、実戦では牌の切れ具合からリャンメンにしても待ちがさほどよくならない場合もあるので、多少枚数を増やす程度なら警戒されにくいようにスルーが有効になることも少なからずあります。
また、仕掛けが食い伸ばしと読みやすい場合があるというのも事実なので、仕掛ける側はさほど気にしないといっても、仕掛けを受ける側になった時には考慮を怠らないようにしたいものです。
知るだけで強くなる麻雀の2択
(担当編集より)この本では、麻雀を打っていて迷いがでやすい2択の場面を扱ってます。
なぜこの本を作ろうと考えたか、それを最初に説明させてください。実は私は、雑誌近代麻雀で多くの麻雀プロにコラムを書いていただいているのですが、その中でとても勉強熱心なプロが『ション牌の字牌とワンチャンスだったらどっちが当たりにくいのか、スジと1枚切れの字牌だったら? というデータをきちんと知りたい』と書いていたのです。
いざ本を作り出すと、梶本氏による過去になかった2択やみーにん氏による新しいデータをたくさん入れることができました。ぜひとも麻雀の基本をマスターし、かつそれを応用してデータと違う選択もできるようになっていただければと思います。