- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第5章
Q15
自分にとって不要牌同士であれば、将来相手にとって必要牌になりやすいものから切る。これは数牌であっても字牌であっても同じことです。鳴かれ得る牌であるとどうしても絞りを考えがちになりますが、巡目が進むにつれて鳴かれる可能性は高まる以上、鳴かれたくない牌は原則通りなるべく早いうちに切った方がよいことになります。
しかし、中盤過ぎともなれば、「既にトイツ以上で持たれているか、1枚も持たれていないのでこれ以上抱えていても鳴かれる可能性は上がらない」ということが増えます。この場合も鳴かれてもさほど困らないなら、むしろリーチ者にアガられるより失点を抑えられることから絞らない方がよくなりますが、ドラ字牌は鳴かれただけでも結構損失が大きいです。
もし切っても鳴かれないようであれば、その場合は切らなければ自分が重ねてチャンス手になった可能性も十分ありますし、互いに1枚ずつ抱え合っていたケースであれば、切りきれずに抱えていた他家に合わせ打たれて結果的にアガられてしまうリスクもあります。一時期絞らない選択ばかりが強調されていたこともあったので、改めてどんな場合に絞らない方がよいのかを再確認してみました。
Q16
今回はそもそもホンイツ移行も十分狙えるので鳴いて1000点確定というわけでもありません。序盤ならメンツが完成する牌の中でもだけはスルーしそうです。
一方、鳴くとほぼ1000点の手であっても、役牌が雀頭だとタンヤオも平和もつかず、ドラも無いということですから、スルーしてメンゼンで進めても高打点にはなりにくいです。一度テンパイさえすれば安牌が無くてもさほど不利にならず、その後手が進まなそうであればそこから安牌を抱えることもできるので、役牌を1つ鳴いたくらいでは守備力が落ちることはさほどデメリットになりません。
逆に言えば、役牌をポンしてもアガリが遠いうえに安手確定、一方うまくツモが噛み合えば、メンゼンで2翻手の三色や一通、メンゼン限定のチートイツやイーペーコーが見込めるとなればスルーが有力になることもそれなりにありそうです。このあたりは具体的な基準を設けることは難しいですが、意識されることをお勧めします。
Q17
通れば確実に加点できるとなれば、多少危険であっても押した方がよいことが多いです。しかし今回は無スジだったのでハイテイでも放銃率は17%程度でしたが、これが両無スジ456なら25%以上、河によっては更に高くなることもありそうです。
また、満貫放銃は大概の局面で順位に悪影響を与えますが、1500点の加点が順位にほぼ影響しない局面は少なくありません。流局間際の押し引きはこのあたりにも留意したうえで判断するようにしましょう。危険牌の放銃率をどの程度と見込むかについては、前作の、『統計学のマージャン戦術』を御参照下さい。
Q18
先制リーチならメンピンより悪形リーチドラ2の方が優秀でしたが、2件リーチともなるとかなりアガリ率が下がることもありベタオリと比べても劣るという結果になりました。リーチ者同士の横移動で終わることも多いので、1件リーチほどベタオリ時の支出が小さいというのもあります。 ただし、切る牌がどちらにも通っていない無スジという前提でやや不利なので、どちらかには通っている牌を切ってテンパイであれば追っかけリーチに分がありそうです。
知るだけで強くなる麻雀の2択

(担当編集より)この本では、麻雀を打っていて迷いがでやすい2択の場面を扱ってます。
なぜこの本を作ろうと考えたか、それを最初に説明させてください。実は私は、雑誌近代麻雀で多くの麻雀プロにコラムを書いていただいているのですが、その中でとても勉強熱心なプロが『ション牌の字牌とワンチャンスだったらどっちが当たりにくいのか、スジと1枚切れの字牌だったら? というデータをきちんと知りたい』と書いていたのです。
いざ本を作り出すと、梶本氏による過去になかった2択やみーにん氏による新しいデータをたくさん入れることができました。ぜひとも麻雀の基本をマスターし、かつそれを応用してデータと違う選択もできるようになっていただければと思います。