- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第6章
Q4
アガリ牌をツモったのにアガらないことはあまりありませんが、三色にならなくてもリーチ平和、裏ドラもあり打点にかなり差がつくことから案外フリテンリーチが有力になります。
大抵の手牌はメンゼンテンパイなら即リーチを打つことになり、手変わりを見るにしてもダマよりはテンパイを外すことが多いので、今回のような例は実戦ではやはりあまり見かけません。逆に言えば、手変わりを見るにしてもダマテンに受けた場合がよい場合は今回のようなフリテンリーチが有力になる場合が結構あります。リャンメン変化が豊富なメンツ候補がメンツになると、そこから1枚切ることで多メンチャンの形が残るうえに、テンパイを外さずに手変わりを待つ理由の多くが、テンパイを維持することによってのみ残すことができる手役絡みの変化があるためです。
ただし、確実にアガっているものをアガらないのですから一方的に失点するリスクもあります。既にテンパイしている他家がいそうというのであればアガった方がよいことも多いでしょう。相手の挙動も踏まえたうえで判断したいところです。
Q5
解答にあるデータがそれぞれ、「8種から国士を狙った場合のアガリ率」「例題の手牌から国士以外を狙った場合のアガリ率」を指しているわけではないことに注意が必要です。ここまでアガリ率が低いのは「8種から国士以外の手役を狙わない」手牌、局面自体が稀であるためです。役満祝儀が無いうえに完全順位制、アガリ率重視の打ち手が多い天鳳鳳凰卓であることも踏まえるとなおさらでしょう。
8種でも役牌トイツやホンイツ等仕掛けがきく手役があれば結構アガれるので、例題の手牌のアガリ率は解答のデータよりは低そうです。今回はタンヤオや平和がそれなりに見込めるうえに、テンパイを狙うメリットも大きい親ということもありどちらかと言えば通常のメンツ手狙いで進めるのがよいとみます。ただし8種となれば、遠いホンイツやチャンタ、チートイツを狙いつつ、あわよくばの役満もみて一応ヤオチュウ牌を残すケースも少なくありません。8種かどうかというより、あくまで個別の手牌に応じて判断することをお勧めします。
Q6
今回はドラだったので、打点が高いメンツ手有利になりました、もしドラがであれば、今度はチートイツの方が高打点なので単騎に受けるところでしょう。分類上めったにないケースとして取り上げられていますが、「アガリ率に大差ないので打点が高い方を選ぶ」という選択自体は非常によくあることです。
Q7
局収支としては100点差でしかありませんが、被ツモ率に差がつかないので状況に関わらず鳴いた方が有利になります。一方、局収支上はもっと差がつく選択であっても、諸々の要素が大きく変わるものについては状況次第で優劣が変わりやすいです。
同じ微差であっても、「勝ちを目指すうえでは確実に有利な選択を選べるようにしておきたい」ものと、「優劣が変わりやすいので理論上の正着にあまりこだわらない方がよい」ものがあります。これまでの問題は後者が多かったですが、この問題に関しては明確に前者です。
もし、精神的な理由でスルーしたいと考える方がいらっしゃるのであれば、「麻雀に限らず、互いに全力で勝ちを目指すことをよしとするコミュニティに所属する。」あるいは、「勝敗にこだわりようがない別の趣味を持ち、無理に麻雀を打とうとしない。」ことをお勧めします。自分の価値観に合った楽しみ方にこだわるより、自分の価値観そのものが転換されるような楽しみに出会えた時こそ、人は生き甲斐を感じられるものだと思うのであります。
知るだけで強くなる麻雀の2択
(担当編集より)この本では、麻雀を打っていて迷いがでやすい2択の場面を扱ってます。
なぜこの本を作ろうと考えたか、それを最初に説明させてください。実は私は、雑誌近代麻雀で多くの麻雀プロにコラムを書いていただいているのですが、その中でとても勉強熱心なプロが『ション牌の字牌とワンチャンスだったらどっちが当たりにくいのか、スジと1枚切れの字牌だったら? というデータをきちんと知りたい』と書いていたのです。
いざ本を作り出すと、梶本氏による過去になかった2択やみーにん氏による新しいデータをたくさん入れることができました。ぜひとも麻雀の基本をマスターし、かつそれを応用してデータと違う選択もできるようになっていただければと思います。