- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第二章
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13「押し引きのシステム化」で押し引き基準を作ることと、状況によって例外を鑑みながら使い分けることの重要性が示されました。今回も例外に関する話です。
押し引き基準は基本的に先行テンパイ者と1対1のケースを想定していますが、実戦では残り2人が完全に降りているとは限りません。他にテンパイ者がいれば、1対1のケースなら押せる手でも降り寄りになりますし、降りるにしても他家の挙動を踏まえたうえで切る牌を選ぶ必要が出てきます。
108ページの局面は現物待ちダマテンを警戒すべき典型例。全くアガリ目が無い時には押し返すことを考えなくて済むので、その分リーチ者以外の他家の挙動にも気付きやすいですが、今回のようにアガリのチャンスがある時はどうしても見落としがちになります。
リーチ相手に無筋を何枚も押しているといった分かりやすい挙動がある場合は対応しやすいですが、たまたま通っている牌を切っているだけの他家がテンパイすることもあります。
今回のような手牌でそうなれば流石には止まらないところですが、自分のアガリが厳しく、リーチへの安牌が十分にある場合は、「別の他家に当たりうる牌をわざわざ切る必要がないから止めるべき」こともあります。結果的にはかなり不運な放銃であったとしても、その放銃を回避できるよりマシな選択があったのであればミスであることには変わりません。
自分のアガリが厳しければ、何となく通ってそうな牌ではなく、確実に通っていると分かる牌から切るのが原則ですが、確実に通る牌の中でも、別の他家から降りていると分かりづらい牌を切れるならそれに越したことはありません。確実に通るからとメンツを崩して中張牌を連打しているとノーチャンス等の通りやすい牌が増えるので、別の他家が降りやすくなることで、横移動よりツモられて失点しやすくなるというデメリットもあります。
同じ現物を切るにしても、何から切ると自分にとってよりよい結果を期待しやすいかを意識して打ちましょう。
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現在麻雀界はMリーグの開幕で活況を呈しています。トッププレイヤーによる真剣勝負をリアルタイムで観戦できるのは麻雀ファンとしても興味の尽きないところです。 そんなMリーグに最年少で参加しているのが日本プロ麻雀協会所属の松本吉弘プロ。第9回 TwinCup優勝、第25期 發王戦優勝などの勢いを買われ、サイバーエージェントがオーナーを務める「渋谷ABEMAS」に大抜擢されました。 元高校球児で強面。その容貌から「卓上のヒットマン」の愛称でファンに知られている松本プロですが、麻雀の腕も一級品。 その場の状況に応じて様々なスタイルを使い分ける「ベストバランス麻雀」を身上としてMリーグでも活躍しています。 本書は手順、読み、大局観、ゲーム回し、押し引きといった麻雀で勝つための重要事項をテーマに、松本プロが自身の戦術を初披露した、ファン注目の一冊です。