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第26回 ネマタの麻雀徒然草

第26回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

・正解があると言っても、解き明かされたらつまらないというわけではない

「正解が分かったらつまらないから、正解はないと思っている。」麻雀に限らずこの手の発言も時折見受けられますが、仮に正解が分かったとしても、必ずしもゲームがつまらなくなるわけではありません。

 そもそも、全ての局面における正解が既に判明しているにもかかわらず、ゲームとして成り立っていて、多くの人が楽しんでいるものは数多くあります。クイズのように、予め正解が用意されたものに対して正答率や正答までにかかった時間を競うものがまさにそれです。そうです。正解が判っているのと、実戦で正解通りの選択ができるのとでは非常に大きな差があるのです。答えが判ってしまうとつまらない等の発言をする人は、この差を軽視しています。

 とはいえ、この差が小さなものになってしまえば、つまり、正解を実戦で簡単に再現できてしまうようになれば、競技としてはつまらなくなってしまうのは確かです。自動車が出来てもマラソンの面白さは変わらないように、AIが人間を超えてもゲームの面白さは変わらないという言葉もよく聞きますが、これも必ずしも正しいとは言えません。人間はどうやっても自動車の走行を再現することはできませんが、AIの打ち回しを人間が再現することは不可能ではないからです。

 完全に結論が出るとまでは行かなくても、麻雀AIが人間の実力を上回り、研究によって多くの局面で正解を求めることが可能になったとすれば、「つまらない」と感じるようになる人は確かに少なくないかもしれません。何故なら、麻雀は将棋ほど広い知識も、何十手先も読む深い思考力も要しないので、最強AIの打ち筋を人間が再現することは、それほど難しいことではないと思うためです。そうなれば、試行錯誤を経て強くなる喜びは失われかねません。私が未だに麻雀を続けているのも、そのような成功体験の影響が少なからずあります。

 しかも、麻雀は幸いなことに、極めて柔軟にルール変更ができます。ウマオカが変わるだけで少なくとも答えの丸覚えでは対処できなくなりますし、日本麻雀と中国麻将では最早別のゲームです。半荘毎にルールがランダムに変更されるようにすれば、極一部の非常に優れた打ち手であっても、容易に再現することはまず不可能でしょう。そして、そこまで麻雀の研究が発展すれば、どのようなルールが答えの再現が難しく、実力差がつきやすいかという研究も進み、現在の麻雀とはまるで異なる麻雀ゲームが開発されるかもしれません…それはある意味、麻雀の「滅び」とも言えます。しかしそれは絶望ではなく、新たな希望―麻雀を超えた麻雀の「創造」です。だから私は、「正解が分かってしまったらつまらない」とは思いません。むしろ「正解が分かったらどれだけ楽しいことだろう」と思うのです。

 拝読ありがとうございました。次回からは特定テーマにこだわらず、徒然なるままに更新していこうと思います。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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