オリると決めたものの、安全牌がない悩ましい状況はよくあります。
このような時は、安全そうな牌から順番に切ります。ある意味で、機械的な作業ともいえます。
「麻雀の匠」の金太賢プロの2回目は、3巡目のリーチを受けてオリる場面です。
金プロは、「映えない」「つまらない」と話し、「作業」という言葉も使われていますが、確かに、オリるときは一見面白くないんですよね。
ふつう、麻雀をするのは、余暇を楽しむ時間なので、どーんと勝負してオリャー!と言いたいじゃないですか。貴重な休み時間に、なぜ地味な単純作業に耐えねばならんのか、、、という気持ちもよくわかります。
が、耐える作業にも面白さはあって、丁寧に考えながらオリきって、親の会心のリーチを空振りさせたときなどは、それはそれで気持ちいいものなのです。守備の醍醐味を知ると、麻雀がさらに楽しくなると思いますので、最初はつまらないかもしれませんが、取り組んでみてください。
今回は、牌ごとの危険度を改めて確認しましょう。
振り込む基本パターンは、次の5つがあります。
・リャンメン待ち
・カンチャン待ち
・ペンチャン待ち
・シャンポン待ち(シャボ待ち)
・タンキ待ち
牌の種類ごとに、どのパターンに当たるかを考えます。
・字牌… シャンポン待ちとタンキ待ちに当たる
・数牌の1と9 リャンメン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちに当たる
・数牌の2と8 リャンメン待ち、カンチャン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちに当たる
・数牌の3と7 リャンメン待ち、カンチャン待ち、ペンチャン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちに当たる
・数牌の456 リャンメン待ち、カンチャン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちに当たる
最も当たるパターンが少ないのは字牌、次が数牌の1と9になります。
安全牌がないときは、まずは字牌か1と9の中から切る牌を探しましょう。
もし字牌で振り込んだ場合、ピンフとタンヤオの可能性はないですし、1と9で振り込んだ場合は、タンヤオの可能性がないので、失点が少なくて済むこともあります。
次に2~8の数牌を考えます。
シュンツができる全パターンを並べてみるとわかりやすいです。
ピンズで示すと、
の7パターンがありますね。
ではこの中で、からの牌が必要とされるパターンを数えてみましょう。
・と 1パターン(例:を使うシュンツはのみ)
・と 2パターン(例:を使うシュンツはと)
・ 3パターン
とは端牌で使いにくく、当たるパターンが少ないですが、その次に少ないのはとになります。
安全牌はもちろん、字牌も1も9もないときは、2と8が次の候補になります。
もし2と8で振り込んだしても、
・やのようなカンチャン待ちに当たった場合は、タンヤオではない
・があるルールの場合、かで振り込んでも、を含むシュンツではない
ことから、失点が少なくてすむケースも多少期待できます。
があるルールでは、みんなが赤ドラを大切にするので、牌が真ん中に寄ります。その分、2と8は他家にあまり必要とされにくい(つまり比較的安全)といえるのです。
3から7の牌は、どれも危険ですが、特に3と7は、リャンメン待ち、カンチャン待ち、ペンチャン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちのすべてのパターンに当たりうるので、要注意です。
少し難しい言葉ですが、3と7のことを尖張牌(センチャンパイ)と呼び、手作りのキー牌になっています。
例えば、もし場にとが4枚ずつ切られている場面を想像してみましょう。
ピンズで作れるシュンツは、もうの1種類しかなくなってしまいます。3と7がなければ、手作りが著しく制限されてしまうのですね。
この話から少し応用すると、序盤で3や7を切ってくる他家は、手が早くて要注意だといえます。
手作りのキーとなるはずの牌が、早々に不要になるのは、他の部分でメンツが整っている可能性が高いためです。
今回は、安全牌がないときは、基本的に字牌、端牌、2と8の順に切ることを検討しましょう、という話でした。
この話を裏返すと、第30回で紹介した「待ちの強さを意識しよう」になります。
第30回では、最終形がリャンメン待ちになったときは、
1)1-4待ち、6-9待ち
2) 2-5待ち、5-8待ち
3) 3-6待ち、4-7待ち
の順にアガリやすい、というテーマをご紹介しました。
安全牌に困った人が数牌を切るときは、他に情報がなければ、まず1と9、次に2と8から切っていくので、そうなるわけですね。
このように麻雀では、「守備側は普通こう考えるから、攻撃側はこうした方がよい」「攻撃側は普通こう考えるから、守備側はこうした方がよい」という思考が頻繁にあります。いわば同じ紙を表と裏から見ているようなイメージです。
この連載もそうですし、麻雀の書籍や講座は、便宜上「攻撃」と「守備」をわけて説明することが多いですが、両者は別の話ではなく、つながっています。
守備の話を学ぶときに「この話を攻撃側からみると、どういう対策があるだろうか?」などと考えてみると、複眼的な思考が身につくのでお勧めです。
次回は、守備で頼りになるスジについてお届けします。