単に習得しやすい知識より、汎用性の高い知識から身につける
自分にとって興味がある分野の知識を学ぶことが楽しいと思う方も多いと思います。平易で親しみやすい表現を通した講座形式で学ぶことが出来るのであればなおさらです。知識を積み上げれば、それだけ賢明になった気になりますし、競技に関する知識であればより強くなった気になれます。勉強熱心な方はそれだけ、知識を得る喜びを得ているとも言えましょう。
しかし、知識を身につけたとしても、それを適切に打牌選択に反映させることができなければ、よりよい結果を残すことがはできません。第29回で申し上げましたように、身につけた知識自体は正しいものだとしても、かえって逆効果になってしまうことも有り得ます。
よって、単に知識量を増やすのではなく、「これを理解していれば、別の知識も自然と習得できるようになり、打牌選択に適切に反映させることができる。」そのような汎用性の高い知識を身につけることが重要になります。
ただし、汎用性の高い知識となると、習得することは容易でなくなります。正確には、容易な形でまとめることも不可能ではないのですが、そうすると実戦で成立しない例外も増えてしまうため、身につけた知識を鵜呑みにしてしまうが故のミスが増えてしまうという問題が起こります。
拙著『勝つための現代麻雀技術論』では、最初に「手作りの法則」と題して、手作りに関する汎用的な知識をまとめて、そのうえで次項から具体的な手牌を取り上げて解説するという形を取らせていただきました。手牌に関しても、「打◯がかなり有利」という牌姿ではなく、「打◯が勝るが、別の打牌が有利な要素が加われば簡単に判断が覆る。」という牌姿を中心に取り上げました。微妙なケースを微妙と理解していれば、優劣が明確なケースで迷わず正解を選べるようになるので、結果的に最低限の知識で、効率よく正解を導くことができるようになります。