ネマタの麻雀徒然草第38回
第35回で、「一手先の手牌評価が正しくできれば、自ずと何切りが有力か分かる」とお話しましたが、一つ例題を出してみることにします。
ドラ
(
は客風)
リャンメン×2の1シャンテンなので、7巡目くらいを想定します。ドラを使うか三色を狙うかの比較です。
「何切る」と言われるとどうしても何を切るかに着目しがちですが、手作りを考える時は切る牌より、残す牌に着目した方が分かりやすいものです。ドラを残すにしても三色を狙うにしてもマンズリャンメンが残るので、そこがメンツになってテンパイした時の手牌を評価します。
をツモった場合、三色狙いで
を残していれば、
なら三色がつく
待ちのリーチ平和テンパイ。
を残していれば
待ちのリーチ平和ドラ1テンパイになります。
一発裏ドラ有りのルールで、リーチしてアガった時に平均で何点程度の手になるかについては、『科学する麻雀』の内容を引用して『勝つための現代麻雀技術論』『天鳳完全攻略読本』に記載させていただきました。額面通りの点数計算以上に、リーチしてアガった場合何点程度になるかは重要なので覚えておくことをお勧めします。
結論だけ申し上げれば、と
、どちらでアガる確率も同程度(実際は端寄りの
でアガることが多い)という仮定で、平均打点が同じくらいになります。三色が残る
ツモで互角となれば、三色にならない
ツモなら明確にドラ残し有利。よって
落としが勝ると言えそうです。
これがドラならどうでしょう。今度は
ツモで三色残し有利、
ツモはドラ受け残し有利ですが、ツモ
がはっきり三色残し有利。
落としが勝りそうです。
それでは少し牌姿を変えて、 ドラ
(
は客風)12367m4578p123s南南 ドラ6pならどうでしょう。今度はピンズ二度受けを残す
落としが有力です。ドラが
でなければ、
をツモった時だけ3メンチャンが残って有利になるくらいなら、リャンメンでテンパイする受けが4枚多くなるように二度受けを外す方がよいのですが、ドラ
ならツモ
でもう1枚ドラ
を使えるだけでなく、ツモ
でも高めでドラ受けが残せます。
打牌毎の長所短所を単に列挙するだけだと、結局どの打牌が有利なのかが分かりにくくなり、「何を切ってもよい」もしくは、「自分が切りたいと思った牌が正解」という考え方になりがちです。「勝ち負けにはこだわらない」としても、「あえて負けるように打ちたい」と思う人はいませんし、「好きな手役をアガりたい」としても、それなら半荘1回でも多く麻雀を打ち、アガリに向かうための技術を身につけて行けば、好きな手役でアガれる機会が増えるだけでなく、他の手役も好きになれるきっかけにもなります。
最初から、「私はこれを切りたい」と明確に意志を表明されている方が相手であれば、その意志を尊重するのが指導者の役目ですが、「何を切ればよいか迷われた」というのであれば、勝敗より楽しむことが第一としても、自分ならどのような理由で何を切るかを説明するのも、指導者として必要なことではないでしょうか。
麻雀に限らず、自分の好みのものに出会える喜びより、自分が思ってもいなかった、むしろ毛嫌いさえしていたものが好きになっていく喜びの方が大きいものです。自分の価値観は、案外自分で決められるものではないですから、麻雀というゲームを自分の価値観に合わせるのではなく、麻雀というゲームに自分の価値観が合わさっていく。そんな喜びを伝えられる存在になりたいものです。