戦術本レビューで『ウザク本3』のレビューを3月23日より開始しましたが、ウザク氏本人から章末の4コマ漫画のレビューも依頼されたので、こちらで取り上げることにいたします。
第2章
期待値とは、1回の試行で得られる値の平均値のことで、得られうるすべての値とそれが起こる確率の積を足し合わせたもの。麻雀に当てはめた場合に具体的にどのような意味になるかについては、『統計学のマージャン戦術』を御参照下さい。牌効率と異なり、客観的な定義が存在する言葉です。
「麻雀に正解はあるか」というテーマでも取り上げましたが、麻雀は「不完全情報」ゲームなので必勝法はありませんが、「零和」「有限」ゲームなので最適解は存在します。最適解は何かとなれば、「期待値を最大化させる選択」に他なりません。「期待値はどれくらい大事なの」とありますが、むしろ期待値こそ全て。場に合わせるという話も、場や点数状況を踏まえたうえでの期待値があるというだけで、期待値とは別に場に合わせる技術があるわけではありません。
しかし、「期待値が全て」という言葉は大半の麻雀打ち、特に学校の勉強から離れて久しい方にはかなり違和感を覚える表現です。だから今回のような説明がされるのも相手に合わせるという意味で致し方なし…と思ったのですが、漫画の中のすみれちゃんは女子高生。「期待値とは何か」という話をちょうど学校で習っている時期です。それなら、「数学の勉強にもなる」という名目で、もっと期待値という言葉を推してもよかったのではとないかと突っ込みたくなりました(笑)
「平面の最適解を知らなければ場に対応できない」という言葉も個人的には違和感を覚えます。問題によっては、平面前提で考えると何が最適解かを判断するのが難しく、場があればそれに対応すればよいのでよほど易しいということもあるからです。ただし、場に対応する技術については実戦でも身につけることができるので、座学としては手牌中心の最適解を考える事が望ましいとは思います。「同じ対応を迫られる局面」は実戦で何度となく出現しますが、「同じ手牌」が実戦で来ることはなかなかないからこそ、座学として身につけておく必要があるのです。
実はゲームの麻雀では、 ロン チーチーでも、が手の内にあるものと判断し符ハネが起こるバグが結構見受けられます。天鳳ではこのバグはありませんが、鳴いた牌を手牌と別とみなすため(バグではなくルールの仕様なのかもしれませんが)、をポンして単騎でもテンパイ扱いになります。オンライン麻雀ならではのルール問題については後日また取り上げるとして、「グフ」が「ゴフ」だったら「52」で完璧でしたね(笑)