私は麻雀に関しては、「ルールの違いはさほど重要視しない」立場ですが、麻雀界全体からすればどちらかと言えば少数派と思われます。理由の一つは前回言いましたように、私は「手牌の違い」「局面の違い」「ルールの違い」を区別して考えますが、麻雀でルールの話題となると、「ルールの違いによって生じた手牌や局面の違い」も、「ルールの違い」とみなされることが多いためです。
もう一つの理由は、例えば「赤有りと赤無し」のように具体的なルールを取り上げられた時に、そのルールの違いを何と比較して考えるかにあります。麻雀のルールの話をする以上、話題にするのは誰しも麻雀打ちですから、まずは麻雀の他のルールを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
麻雀には無数とも言えるほどの様々なルールがありますが、その大多数が、打牌選択にほとんど影響しないものです。極めて有名なルールにも関わらず、打牌選択に事実上影響しないものと言えば、「大車輪を採用するかどうか」。大車輪を採用しても、メンゼンでの形でアガった時だけ役満になるのに対して、採用しなかったところでダマでもメンチンタンピンリャンペーコーの三倍満。数え役満を採用していればドラがあるだけで役満になります。
これは流石に極端としても、「赤ドラを採用するかどうか」は、麻雀のルールの中で非常にメジャーであり、なおかつ他の無数のルールと比べれば打牌選択への影響が大きいです。「麻雀の他のルール」との比較であれば、「赤有りと赤無しは全く別のゲーム」くらいの捉え方をする打ち手がいても何ら不思議ではありません。
しかし、「麻雀の様々なルールを解説する本」ではなく、あくまで「麻雀戦術書」の中で取り上げるのですから、比較の対象となるのは他のルールではなく、個別の手牌や局面といったルール以外の要素。前回の繰り返しになりますが、ルールの違いは誰しもが意識するところだからこそ、実戦ではルール以外で判断に影響しやすい要素、個別の手牌や局面を中心に考えます。それでも判断が難しいとなれば、その時初めてルールを意識するくらいでよいのではないでしょうか。