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第238回 ネマタの麻雀徒然草

第238回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

麻雀で、「スジだから通りやすい」という場合の「スジ」は、リャンメンでは当たらない牌のことです。しかし、「残っているスジが少ないので危険」という場合の「スジ」は、リャンメンで当たる可能性のある牌のこと。普段あまり意識せずに使っていますが、同じ言葉が逆の概念を指しているので慣れていない方にはややこしいかもしれません。

そこで、両者を区別する為に上手い表現はないものかと調べていたところ、こちらで、リャンメンでは当たらないという意味でのスジを「表スジ」と呼ぶということを知りました。

恥ずかしながら、麻雀歴30年になるにも関わらず、「表スジ」という呼び方を今の今まで知りませんでした。「裏スジ」という言葉があるくらいですから、対応する「表」がある。普段「表スジ」と呼ばれないのは、「裏芸」「裏技」に対して、わざわざ「表芸」「表技」と呼ぶことがあまりないのと同じことということに、もっと早く気付くべきでした。

一昔前は分かりませんが、少なくとも現在「表スジ」という用語を見ることがあまりないというのは事実です。これは、「裏スジ」が、牌の放銃率を考慮するうえであまり意味をなさない概念であることが『科学する麻雀』で示されたことが理由として大きいのではないでしょうか。以降の戦術書はリャンメンで当たらない「スジ」に対して、リャンメンで当たり得る牌全体を「無スジ」と表現するのが主流になりました。「スジ」の対義語ですから、「無スジ」となるのが自然ですが、「裏スジ」に対する「無スジ」は、周辺の牌が切られていないので河情報が特に無い牌のこと。言葉は同じでも対応する言葉が違うので意味合いが変わります。「婦人」という言葉が、「男性」と対応する場合は成人女性全体を指し、「若い女性」と対応する場合は年輩の女性を指し、「独身女性」と対応する場合は結婚している女性を指すのと同じです。「裏スジ」という言葉が使われなくなれば、「表スジ」という表現はますます使われなくなります。

第84回でも取り上げましたが、『科学する麻雀』以前の戦術書の「裏スジは危険」というセオリーは、「河情報のない無スジ」ではなく、「同色の裏スジ以外の牌」との比較で生まれたものと考えれば、あまり意味を為さないセオリーというのは否めませんが、誤りとは言えなくなります。

同じ言葉が対応する言葉によって意味が変わるというのはごく自然なことですし、私達は日常会話の中で特に意識しなくても使い分けています。話者間の中で意味が共有されているのであれば、あえて言葉を区別する必要はありません。

しかし、こと麻雀というゲームは、覚え学んだ環境が人によって実に様々。環境の違いからくる齟齬もこれまで何度となく見てきたので、できれば対応する言葉によって意味合いが変化しない表現を浸透させたいと思うところです。待ちの基本形5種(リャンメン、カンチャン、ペンチャン、シャンポン、タンキ)に対してそれぞれ(当たらない、当たりにくい、当たる)を判断することこそ牌の放銃率を考えるうえで重要なので、この辺りを何とかして簡潔に表現できるようにしたいですね。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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