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平城六花・正解を選び続けた先に【シンデレラファイト シーズン2 予選Final ピックアップ記事】

平城六花・正解を選び続けた先に【シンデレラファイト シーズン2 予選Final ピックアップ記事】

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一通vs.混老・平城渾身のリーチ【シンデレラファイト シーズン2 予選Final 観戦記】

今でも忘れられない、苦い思い出がある。もう10年も前のことだったろうか、高校野球ファンである筆者は、地元石川県代表の高校が甲子園で戦うのを応援していた。

その高校は晴れの舞台甲子園で1回戦を勝ち、2回戦で残念ながら敗れてしまった。

 

甲子園があった日の夜に、熱闘甲子園という名前の特集番組が放送される。

筆者は1回戦があった日の夜、念のために録画もしてあったその番組をリアルタイムで見るべく、テレビの前に正座して待機していた。

しかしその番組の内容は、敗れた高校をメインに描いており、勝って2回戦に進出した石川県代表の高校については微塵も触れてくれてはいなかったのだ。

 

しょうがない。敗れた高校には、次がないのだ。

一方で、勝った高校には次の試合があるし、当然次の熱闘甲子園でメインになる可能性だってある。

今回はひとつ譲っておこう。

今なら「何目線だよ」と笑われるかもしれないが、筆者は鷹揚に構えて事を荒立てるようなことはしなかった。

 

そうして、次の試合の日になった。2回戦だ。

前述の通り、筆者の応援する石川県代表の高校は、2回戦で敗退してしまった。

 

しかし、大丈夫だ。筆者には、熱闘甲子園があるのだから。

敗れた高校の切なさ、友情、涙、監督の熱い言葉、ご飯を食べるときのキャプテンの挨拶、真ん中で立つリポーターに向かって四方八方から集まってきて「熱闘甲子園!イェーイ!」とかみんなで叫ぶリア充の極みみたいなやつ。

そういう一切合切が、今から見られるのだ。

 

ところが、である。

その日の熱闘甲子園は北関東代表の高校に所属するかわいいマネージャーがメインになっていて、石川県代表の高校はまたもやノータッチだった。

おいおい熱闘甲子園、そういうパターンもあるのかよ。

 

ウソだ。こんなこと、あっていいはずがない。

 

筆者は激しくうろたえた。確かにそのマネージャーの2つ結びは、全国放送に値する映像だった。

部員たちは色めき立ち、ご両親はさぞかし鼻が高かったことだろう。

しかし、耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んでこの日を待っていた石川県民の気持ちはどうなるのか。

この気持ちは、この気持ちはいったいどこにぶつければいいのか。

 

前置きが長くなってしまったが、筆者が1つ前の記事で予選finalに残った16選手すべてをピックアップして書いたのには、上の熱闘甲子園に対する思いがあったのだ。

せっかく16/95を勝ち上がったんだから、全員書こうぜ。今回負けた選手の中から、次回の優勝者が出る可能性だってあるわけだし。

そういう足かせが外れた今回は、♯2平城六花の麻雀を見ていこう。

 

南3局ツモれば6000オールからの勝負手を放ったものの、結果は痛恨の8000放銃となってしまい、南4局平城は窮地に立たされていた。

3着目の川上玲まで7200差は、1600/3200ツモか3900直撃条件だ。

 

前局成就させることがかなわなかった混老チートイツを卓に落とし、新しく運命の配牌と対面する。

ドラは端牌の[九]だ。役牌・ドラ3のせめて種だけでももらえたら…

 

 

南場の北家に座る平城にとって、効いているのは場風の[南]1枚のみ。

ピンズが7枚あり、[一][9]はチャンタに使えるかもしれない。いわゆる腕が試されるというか、平城のセンスと大局観が重要な配牌となった。

これがもしタンヤオ赤3だったら簡単なのだが。

 

第1ツモは[9]とつながってチャンタに使える[8]、平城は当然手に留め、オタ風の[西]から打っていく。

満貫を軸に置きながらも、場況や巡目によっては3900直撃コースを選ぶこともあるかもしれない。

 

第2ツモは場風の[南]。いける、いける。

タンヤオ赤3に比べたら難易度は上がるし、3900直撃のことがあるから副露判断も難しいけど、ゆっくりと着実に歩みを進める。

 

カメラ切り替えの関係なのか、3巡目上家から出た[⑧]に少し間があったようにも見えたが…

 

スルーからのツモ[⑧]。場風の[南]、ピンズのホンイツ、チャンタ、13枚すべてに役割を与え、命を吹き込んで手を進める。

 

6巡目に、方向性を決める大きな分岐があった。ツモ[東]で、打[8]。ここでチャンタを見切ってホンイツに決める。

放銃が怖くない立場とはいえ、この[東]は後々、例えばハネツモトップをねらった岡田からリーチが入ったときなどに安全牌としても使えそうだ。

 

山にある牌を探し、リーチ・ツモ・チートイツでも、1600/3200で条件クリアとなる。

現在3トイツ、可能性はゼロではない。

 

ありとあらゆる可能性を追い、残せるものはすべて残して、それでもテンパイにたどり着けたのは15巡目だった。

待望のツモ[⑥]。打[北]として、[南][①]のシャンポン待ち。

しかし、[①]はトップ目の佐藤まひろがトイツ落とししていて、明確に残っていない。

 

気になる[南]のありかだが、1枚は川上の河に、そしてもう1枚は対面の岡田智子の手に来た。

岡田から[南]が出れば平城は2着になれるが、ここで[南]が出る選手ならこの予選finalまで勝ち上がって来はしまい。

 

そうして、筆者が1番好きなシーンがやってくる。

テンパイtoテンパイのツモ[②]だ。

もちろんツモ切ってシャンポンテンパイを続行することもできるが…

 

平城の選択は打[①]。いわゆる「ペンカン[③]」と言われる不細工な形で、決して本意ではないだろう。

しかし本意ではないものの、[南][①]のシャンポン待ちを継続した場合、待ち牌は山になかったのが、このペンカン[③]は山に1枚ある。

一気通貫がついて8000だ。

平城の執念が、紙のように薄い確率論の正解を導き出した。

 

結果は流局となり、4着の平城は脱落が確定した。

1牌に笑い1牌に泣く、麻雀の1番辛い部分を一身に引き受け、対局後のインタビューでも努めて気丈に振る舞った。

逆風に耐え、正解を選び続けながら、それでも本戦にたどり着けなかった1人のシンデレラに拍手を贈りつつ、この稿をとじる。

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