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バルクと狼のワルツ。これが俺たちのシンデレラ!【麻雀ウォッチ シンデレラリーグ2018 第1節予選Bブロック2卓】

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最高位戦日本プロ麻雀協会所属、「元気爆弾バイリンウルフ」松田麻矢だ。松田のツイッターでの公募と本人の意見をすり合わせて、このキャッチフレーズは誕生した。松田の魅力を凝縮した良作だと思っていたが、今ではこのキャッチフレーズにしたことを後悔している自分もいる。この日の彼女の対局を見届けた今、何がなんでも「ファンタジスタ」の名を冠すべきだった! と頭を抱えずにはいられない。麻雀界のファンタジスタといえば、日本プロ麻雀協会の鈴木達也の名が真っ先に思い浮かぶ。だが、そんな達也でさえ、この日の松田の打牌を予測することはできなかっただろう。

正直に言うと、僕は今から触れる局面を紹介することが怖い。意図を正確に汲み取れる自信がないからだ。だが、ある意味、この日最大のハイライトだった局面をスルーするのは観戦記者としての「逃げ」に等しいと考える。故に、拙いながらも紹介をさせていただこう。

3回戦東4局、松田はトップ目の親番で木村と水谷からリーチを受けている状況。でチーしており、だと三色・ドラ2の5800点でアガれる。2軒リーチへの共通安牌はなく、さてどうするか――。

なお、木村は待ち。

水谷は待ち。松田がテンパイを維持すれば、水谷への放銃となる。

悩んだ結果、松田は切りを選択。水谷の現物で、リーチ宣言牌がではあるが、木村への筋でもある。この選択を取る人は珍しくないと思う。問題はこの後だ。

水谷からをポンして満貫確定! そして――

両者に無筋の打! は一番放銃したくない当面のライバルである、木村の現物であるにもかかわらずである。これが漫画だったら、から土煙が立ち上っているかもしれない。

そして木村が、をつかんでしまう。

「ロン」と発声した直後の水谷の表情が印象深い。

頭ハネで松田が12000点をアガり、この半荘のトップを決定づけた。

は絶対に切りたくなくて、自分の中では絶対通ると思っていました。切る時は、もちろん理由があるので。見直したら思い出しますけど、理由は忘れちゃいました(笑)」

とは、試合後の松田の弁。過去にも何度か松田の対局を見てきたが、彼女は思考を言語化するのが得意ではない。いわゆる感性派の打ち手だ。そして、その感性に従う自らのスタイルを、良しとしている。

セオリーと違う選択は、とかく批判されがちだ。だが、松田が結果を残したのは確かだ。もしかしたら、解説を務めた多井隆晴を今年最も悩ませたのは、松田だったかもしれない。だが僕は、そんな彼女の対局を素直に面白いと感じながら魅入ってしまった。セオリーに縛られていてはたどり着けない領域に、松田は散歩でもするかのようにたやすく踏み込む。そうしてまた、僕たちは麻雀の新たな魅力の虜になる。それはとても幸運で、幸福なことなのだと思う。

3回戦のトップをきっかけに息を吹き返した松田は、最終4回戦でもトップを飾る。

2回戦終了時点で▲95.8pだった松田が、終わってみればトータル2位にまで浮上した。

松田は意図的に勝負所を増やし、リスクを承知で前に出ていく。失敗すれば1回戦のような大きなマイナスとなるが、型にはまった時の爆発力は、間違いなく出場選手の中でもトップクラスである。シンデレラリーグの予選は、12回戦で終わる。残り3分の2をこの調子で駆け抜ければ、前年度ファイナリストがひしめくBブロックも、どんな結果に終わるかわからない。

前半2回戦は水谷のロジカルな選択が冴え渡り、後半2回戦は松田のファンタジスタとしての才が爆発した。なんと対照的で濃密なことか! ガラスの靴をめぐる舞踏会には、バルクあふれる才女も、自由奔放な狼もひしめいている。彼女たちが魅せるワルツに、僕たちはこれからも心奪われずにはいられないのだろう。

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この記事のライター

新井等(スリアロ九号機)
麻雀スリアロチャンネルの中の人。
ナンバリングは九号機。
スリアロでのポジションをラーメンに例えると、味玉くらい。
お酒があれば、だいたい機嫌が良い人です。

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