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ネマタの戦術本レビュー第205回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その12」

ネマタの戦術本レビュー第205回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その12」

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例題23

 この時点ではを切っても特に問題は無いと思いますが、北家の仕掛けと点数状況を考慮すると、ここからが出たとしても、仮にが安牌であっても鳴いて手を狭めるのは得策とは言えないのでスルーするところ。ここからをポンしないとなると、自分のアガリ目自体あまりなさそうです。

 そうなるとこの手からはほぼ降りることになりますが、同じ放銃を避けるにしても、なるべく損失は減らしたいところ、放銃以外の結果で望ましくないのは東家にあがられて逆転されることですから、を合わせ打ちして北家にアシストする選択が候補に上がります。

 はポンしないにしてもアンコや三色の1シャンテンになればを止めるほどではないですし、後々が通る可能性もあるので、この時点では一応のアガリ目を残す打と、アシストに決める打との優劣は何ともいえないところですが、を切った後仕掛けへの放銃リスクを考慮せずにアガリを目指す、あるいは降りるにしてもアシストはしないという選択が損であることは明確なので、この局面で特に迷う事無くを選んだ方は、実戦で目的に応じた押し引き判断ができているかを改めて確認した方がよいかもしれません。

例題24

 一般論として、手変わりがあまりない子の先制悪形リーチのみは少なくとも損とは言えません。しかし、場況や点数状況を考慮せずに何でもリーチしてよいとも言えません。どちらかと言えばリーチが少ない打ち手の方が、局面を認識する能力に長けていることが多いので、結果的に、悪形リーチのみを打たない打ち手の方が勝っているというのが現状ではないでしょうか。

 親から追っかけリーチ、あるいは鳴いて高打点のテンパイで追いつかれれば、悪形のみ手でリーチを打ったことが損になります。逆に言えば今回のように、親が降りる可能性が高く、押されたとしても高打点テンパイではないことが分かっているのであれば、悪形のみ手でも明確にリーチがよいと言えます。

 もちろん待ちがかなり苦しいうえに手変わりもある手で牽制狙いのリーチを打つのは単に損なので、ツモの場合はテンパイを外します。当たり前ではありますが、切られている牌を見落としてアガリ目がほとんどないリーチをしてしまうミスは避けるべきです。そのような分かりやすいミスさえしないのであれば、先制ならドラ無し役無しの悪形テンパイでもリーチが有効なケースは案外多いのではないでしょうか。

本記事に関するご紹介

前著「黒いデジタル麻雀」で概念的に説明された戦術論を具体的な局面に落とし込んで解説しています。41の例題が収録されていますが、それらは決して単なる何切る問題ではなく、何を切り、何を考えておくべきかを問うています。ハイレベルになった現代麻雀において勝ち続けるにはここまで深く考えなければいけないのかと驚かされます。
 
石橋 伸洋 (著)
発売日:2016年10月26日
定価:本体1,490円+税
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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