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ネマタの戦術本レビュー第204回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その11」

ネマタの戦術本レビュー第204回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その11」

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例題21

 従来の手牌読みのセオリーとして有名なものに、「リーチの宣言牌のまたぎが危険」、すなわち宣言牌が面子候補の一部であるような待ちが危険というものがあります。このセオリーは現在一般論としては誤りであることが分かっています。何故なら例外が余りにも多いので、結局またぎ以外の無スジと危険度が大差無くなるためです。

 しかしこれをもって、読みは不要と断言するのは早計です。一般論としては成り立たなくても、例外が考えにくいので成立するケース自体は数多くあるからです。「面子候補の一部であった可能性が高い」と読めるケースを見つけることこそ、手牌読みの肝です。

 雀頭を切るとテンパイしないので、リーチの宣言牌は、「浮き牌」「面子候補の一部」「面子の一部」のいずれかです。「浮き牌」が残る理由は、「くっつき狙い」「安全牌」「単騎テンパイからの待ち替え」「たまたま、あるいは河作りのために不要牌が残っていた」のいずれかになります。不要牌をあえて安全牌よりも残したケースについてだけは完全に否定することはできませんが、基本的にレアケースとみなしても押し引き判断のうえで読みを考慮する分には問題ないと思います。

 「面子候補の一部」の場合、多くは3枚からなる面子候補の一部ですが、「単騎テンパイ」「テンパイからの待ち替え」の場合は2枚からなる面子候補の一部である場合があります。を切っていてが面子候補の一部となると、のリャンメントイツに限られます。

 「面子の一部」の場合は、面子が順子であればスライドか空切りでシャンテン変わらず。つまりリーチする前からテンパイしていたことになるので可能性は低いと言えます。面子が刻子であれば1枚切って雀頭になったケース。これは手順としては合理的ですが、がアンコで、なおかつ他の面子候補が全てリャンメンのヘッドレス1シャンテンであったことになるので、頭頭の2面子形1シャンテンよりは可能性が低くなります。

 よっていくつかの例外こそありますが、この場合は頭頭からの切りが本命、そのうえで先にが入らなかった時は待ちになります。よっての放銃率は高く見積もっても50%は超えませんが、一般的な無スジ(放銃率15%以下)よりはっきり危険度が高いことになり、逆に他の無スジは通常より放銃率が2/3~1/2まで減少することになるので、押し引き判断が変わるケースは十分に考えられます。手牌読みをあまり意識してこなかった方は、今回のように押すことはないが、ベタ降りには困らない手牌になっている場合に、相手の待ちを読むだけの材料がないかに少しだけ意識を向けてみるのもいいと思います。

例題22

 麻雀の局毎の結果は、和了、放銃、被ツモ、横移動、流局のいずれかです。この中で半荘の結果に影響を与えやすいのが和了と放銃なので、なるべくたくさんアガリ、放銃はなるべく回避するのが基本戦略になります。

 しかし、局面、点数状況次第では、特定他家への放銃の方が、別の他家の和了よりも望ましい場合もあります。今回のように競争相手の東家がドラをカンしていて、こちらはアガリが厳しいというのがまさにその典型例です。

 アガリを目指すのも降りるのもアシストするのも全て、自分が勝つための手段。自分のアガリが厳しい場合に、単に降りるよりもよい選択肢が無いか、特に今回のように着順を意識した打ち回しが必要なケースでは考慮に入れたいところです。

本記事に関するご紹介

前著「黒いデジタル麻雀」で概念的に説明された戦術論を具体的な局面に落とし込んで解説しています。41の例題が収録されていますが、それらは決して単なる何切る問題ではなく、何を切り、何を考えておくべきかを問うています。ハイレベルになった現代麻雀において勝ち続けるにはここまで深く考えなければいけないのかと驚かされます。
 
石橋 伸洋 (著)
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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