- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第2章 テーマ 13
リャンメンテンパイでダマだと安いのであればほぼ即リーチが正解です。リーチとダマの局収支差が大きいうえに、「アガリ牌が出るか引く前に手変わり牌をツモり、なおかつ高めでアガる」というのがかなり限られたケースなので、手変わりがあったとしてもその差を埋めるまでには至らないのです。
リードしている場合はもちろん、点数状況が平たくても、残り局数が少ないほど打点よりアガリ率を重視すべきですし、負けているとしても、1つ順位を上げるだけなら必ずしも高打点を狙う必要がない場合も多いです。よって、局収支以上に高打点を重視すべき局面はかなり限られます。局収支の観点からはむしろ打点を重視するケースが結構多いにも関わらず、実力者の多くがアガリ優先のタイプであることもこのためと思われます。
問題2でも基本即リーチですが、これならダンラス等、着順を上げるために高打点のアガリが必須で、アガリ逃しても着順落ちのリスクがないなら手変わり待ちも考えられます。先にをツモるようならアガらずにフリテンリーチ。利用頻度はかなり低いですが一応押さえておきましょう。
問題3は即リーチ。南場トップ目とはいえ2着と大差でなければ、点差をつけるメリットも大きいため先制テンパイならリーチ判断が変わることは少ないです。収支戦なら素点にも価値があり、そもそもダントツならアガリ損ねたところで大体トップを取れることからダントツでも先制リャンメンはリーチしそうです。
第2章 テーマ 14
『科学する麻雀』におけるシミュレートでは、ダマ4翻はリーチに他家が1人攻める程度なら中盤はダマとしていましたが、ダマテン時のアガリ率が実戦より高めに出ていました。(実戦ではダマにしたことで他家の手を進ませてアガられることも少なくないため。)このことを踏まえたシミュレートでは、何と最終盤を除きダマ4翻リャンメンはリーチした方が局収支上は有利という結果になっています。
しかし、この結果から、ダマ4翻リャンメンはほぼリーチ有利と言えるかとなると疑問が残ります。理由の1つは、満貫のアガリとなればそれだけゲームが有利に運べるので、平場であっても着順が影響しやすいと考えられることです。
もう1つは、シミュレートの仮定以上に、リーチすると他家にうまく打ち回されやすいのではないかと言うことです。ドラがたくさんあって高いのであれば、他家の手にはドラが少ないので降りられやすいですし、手役絡みであれば河が弱くなりやすいので他家に待ちを絞られる恐れがあります。
実際、実測値の観点からみると、シミュレートの結果ほどはリーチ有利にならないようです。そうするとダマ4翻リャンメンでリーチを打つかは場況やルールに依存するところが大きく、本書の通り「どちらでも良い」ので実戦の諸要素でどちらが有利かを判断するというスタンスで臨むことをお勧めします。
問題2はダマ6翻リャンメンなのでなおのことダマ優勢ですが、問題3のように字牌単騎となれば、一般論ではダマよりリーチした方がアガリやすいので打点に関わらずリーチ有利です。実戦では字牌待ちリーチが本当にアガリやすいと言えるかも検討する必要がありますが、今回はそれほどチートイツが警戒されやすい河でもないので打リーチとします。
場況を見抜く!超実戦立体何切る
本書は平澤元気プロによる立体何切る問題集です。麻雀の「何切る問題」には大きく分けて2種類あり、自分の手牌だけの情報で受け入れ枚数が最も多くなるような牌を選ぶ「平面何切る」と麻雀の実戦さながら、相手3人の捨て牌やポン・チーの情報などを全て加味した上で何を切るかを選択する「立体何切る」があります。
麻雀界ではここ1、2年で「平面何切る」の良書が数多く出版されたこともあり、平面何切るにおいてはかなりレベルの高い知識が共有されています。
ではその中で差をつけるものは何でしょうか?その答えの一つが「立体何切る」です。
立体何切るでは、平面何切るの知識に加えて、河、点数状況、今が何局目であるか、といった多くのファクターを考え合わせた上での最善手を導き出す必要があります。
本書は現代麻雀の立体何切る問題集として先陣を切るものであり、本書の内容をマスターすることで一群から抜け出す雀力を身につけられるはずです。
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