- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第一章 分析1
ターツが足りていないものとして、受け入れ1種3枚のみとはいえ重なればリャンメンと同等かそれ以上に価値が高い役牌と、受け入れ3種11枚とはいえ良形ターツを作らない端牌との比較。14ページの手牌のように、1メンツもなくメンゼンでテンパイしにくい形の場合は打がよいでしょう。打点についても大三元、小三元はレアケースとしても、役牌トイトイ赤の満貫程度になることは結構ありそうです。
一方、15ページの手牌は1メンツと2リャンメン。メンゼンで比較的テンパイしやすく平和もつきやすいうえに、役牌を重ねて鳴いても安手止まりになることが多い。アガリまで手数がかかる序盤の手作りなので、「大差」ではないとみますが、何度も選択することになるので長期的には結構な差になるかもしれません。
基本的にはターツ不足で、メンツが多く、リャンメンが多く、鳴くと安手になりやすいドラ0〜1ほど役牌切り優勢です。ただし、配牌で3メンツ1雀頭といきなりくっつき1シャンテンの手がきた場合は、最序盤は悪形テンパイに取るくらいなら手変わりを待った方がよいので端牌を切ります。
17ページ中央の手牌については、浮き牌ドラを使うことを前提として実質ターツが足りているとみなすこともできます。その考え方からすればを安牌として残して打とするのもさほどロスにはなりません(序盤なら遠い一通目や、待ちが残った時にの出が早いと待ちを読まれやすいという理由で切りがいいとは思いますが)。字牌を抱えることが多いタイプの強者は、4メンツ1雀頭の5ブロックをどこで作るかの見極めに長けています。「事実上5ブロックが決定しているので、新たにブロックを作る浮き牌より安牌を抱える」という発想自体は時折必要になります。
しかし、そのあたりの見極めに疎い段階で何となく字牌を抱える打ち方が癖になってしまうと、アガリやすい手組に関する知識や、高打点への変化を見通す能力が養われなくなる恐れがあります。
数牌から切ることによるフリテンのリスクが本書で取り上げられていますが、このように結果に大差がついてしまう場合もあるので、ひとまずはターツが足りてない段階では字牌を先に切るのを基本にしたうえで、字牌を残すだけの理由があるかを検討したうえで判断することをお勧めします。
現代麻雀の神ワザ
本書は日本最大のネット麻雀サイト「天鳳」における鳳南(鳳凰卓の東南戦)で、麻雀強者の牌譜を見続けてきた「鳳南研究所」による書き下ろしの麻雀戦術書です。
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