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ネマタの戦術本レビュー第723回「現代麻雀の神ワザ 著:鳳南研究所 その2」

ネマタの戦術本レビュー第723回「現代麻雀の神ワザ 著:鳳南研究所 その2」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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本人だけのバランス

 「押し引きや読みに非常に長けているならダマ有利」になる局面が存在すること自体は確かですが、フラットな点棒状況でそのような局面がそれほど多いかと言われれば否でしょう。 (著:みーにんさん) 例えば、東1局の先制平和のみについては、「ドラ単騎のチートイツドラドラでダマにしている他家がいることが確実に読める」という極端な仮定を置いても、局収支期待値のうえではリーチ有利ということが研究によって明らかにされています。どちらかと言えば、「多少損な選択をしていても、押し引きや読みに長けていれば損失をカバーできる」「基本的な選択ではミスが無くても、局面が複雑になると凡庸な打ち手はミスをしがち」というのが真実に近いのではないでしょうか。最善手と次善手以下の選択に結構差がある局面であっても、実力者なら満場一致とは案外ならないものです。
 とはいえ、最善手と次善手以下の選択が僅差である手牌、局面が珍しくないことは確かです。そのようなケースは無理に最善を突き詰めようとするよりは、自分にとってバランスが取れていると感じる、選びやすい打牌を身につけることをお勧めします。そうすれば「判断」にかかる手間が省け、情報の見落としや、判断に迷いが生じて正着が選べなくなるといった、「認知」「打牌」の領域に関するミスを減らすことができると思います。
 9ページの局面については個人的には打とします。「を切っても他家リーチに押し返す手」で、「7巡目でリャンメン×2の1シャンテンでは先手が取れないことも多い」ことから、多少打点を上げるためにを残すよりは西家以外には現物であるを残した方が有利と判断しました。

強者たちの工夫


 13ページの局面でドラが通る理由はこちらを御参照下さい。
 強者になるためにはまず、「普通の手」を当たり前の知識として把握し、実戦で意識せずとも打てるようになることが必要です。本書にある通りまさに「名人に名手なし」と言われる所以です。
 強者はそのうえで他家と差をつけるために、「普通でない手」も候補に入れ、その選択が有力な局面になるとすればどんな場合かを考慮しています。むしろそのことに思考を集中させるために、「当たり前の手を当たり前に打つ」ことの徹底が必要と言ってもよいでしょう。
 13ページの局面のドラ切りはまさに、思考を集中させてなければ選べない打牌です。何としてでもアガリたい局面でなく、トップ目のこの局面ですからなおさらです。
 「普通でない手」を打つ自信や度胸が必要とよく聞きますが、もし今回のケースを「見えている」レベルで読めるのであれば自信も度胸も不要です。そもそもそのレベルに達していれば、ドラ切りこそが「普通の手」です。「普通の手」が打てて二流。そのうえで「普通でない手」が打てて一流。「普通で無い手」が「普通の手」になれば超一流というところでしょうか。二流にも満たない身ですが、いつかは超一流の境地を垣間見たいものです。

現代麻雀の神ワザ

本書は日本最大のネット麻雀サイト「天鳳」における鳳南(鳳凰卓の東南戦)で、麻雀強者の牌譜を見続けてきた「鳳南研究所」による書き下ろしの麻雀戦術書です。

「強者の共通点はびっくりするほど少ない」と筆者は言います。

本書では天鳳位を始めとする強者たちの打ち筋の共通点を見出すとともに、それぞれの独自のバランス感覚(他人にはマネできない本人だけの「勝ちの型」)を明らかにすることを目指すものです。

数え切れないほどの牌譜を見てきたからこそ分かる、異彩を放つ一打とその背景にある麻雀理論。

本書で「現代麻雀の神ワザ」を体感していただき、みなさんの「麻雀の型」をさらにレベルアップさせる一助にしてください。

 
鳳南研究所
単行本:1,663円
Kindle Unlimited
 
 

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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