前回までは手牌を構成する牌組の話だったので、今回からは手役に関する話。「麻雀をありのままに把握する」試みは一旦脇に置いて気楽に話すことにします。
「好きな手役は何ですか?」と聞かれたら、今では「アガれるなら何でも」と答えますが、一時期は「メンホンチートイツ」と答えていました。理由はアガリに遠いところからうまくアガれた時の爽快感です。国士無双のような役満だと誰しもが狙うので、通好みのシブい役だからというのもあります。
「現代麻雀技術論」の筆者としての私を知る方からすれば、メンホンチートイツという、さほど効率的ではない手役が好きというのは意外に思われるかもしれませんが、麻雀に向き合っていた時間は「現代麻雀技術論」を執筆する前の方が長いので、勝つための打牌選択はともかく、麻雀観に関しては一昔前の考え方に近いかもしれません。
メンホンはともかく、チートイツに関しては今でも人よりは狙うことが多い打ち手だと思っていますが、チートイツは好きでも単騎待ち、特に残り1枚、通称地獄単騎は字牌であってもあまり好きではありませんでした。理由は地獄と名がついて縁起が悪い…からではなく、残り1枚が王牌にあったらアガリ目がないためです。字牌の地獄単騎で待つくらいなら、無スジでも3枚残りの中張牌待ちの方がいい、特に序盤であればなおさらと思っていたのですが、実際は序盤であっても残り1枚の字牌単騎が勝るようです。
たまたまアガれない展開が続いたことから来る思い込みが誤りであったと気付ける。いい時代になったものです。