- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第5章
Q1
「危険牌を切ってアガリやすいテンパイ」と、「安全牌を切ってアガリにくいテンパイ」なら基本的に前者有利です。今回は3メンチャンとリャンメンでも前者有利だったので、リャンメンとカンチャンならなおのこと前者有利と判断できます。
切る牌の放銃率がかなり高ければ当然判断が変わることもありますが、この手の比較は一方が安牌ならもう一方は片無スジ(両無スジにならない)になります。アガリやすいテンパイというだけで安手でも押すに値することが多いので、「安全牌を切ってアガリにくいテンパイ(次に危険牌を引けば降り)」を選ぶことは意外にも少ないです。
Q2
後手、悪形、低打点の2つが揃えば引きと言われることもありますが、実際は後手でもテンパイなら、良形、高打点どちらか1つで押した方がよいことが多いです。
今回は後手かつ悪形ですが、リーチツモで満貫に届くので十分高打点。局収支上も押し有利になりました。
Q3
今回は3900テンパイなので高打点とまでは言えませんが、鳴き手の場合はリーチ棒の1000点を出す必要がなく、アガった時は一方的に相手のリーチ棒も得ることができます。この影響があるのでまだ押し有利になります。
Q4
のみ手かつ対親リーチに無スジと、良形テンパイ以外はかなり悪い条件。ここまで揃っても局収支上は互角。今回は白切りで引いても再度テンパイしてアガれる可能性も僅かながらあるので、どちらかといえば引き有利とみます。
これでも相手のリーチが子であれば明確に押し有利になるので、先手、良形、高打点のうち1つでも満たせばよいということがお分かりいただけたのではないでしょうか。従来は2つ必要と言われることが多かったのは、「自分がアガらなければ振らなくても失点する」というデメリットが過小評価されていたためと思われます。
知るだけで強くなる麻雀の2択
(担当編集より)この本では、麻雀を打っていて迷いがでやすい2択の場面を扱ってます。
なぜこの本を作ろうと考えたか、それを最初に説明させてください。実は私は、雑誌近代麻雀で多くの麻雀プロにコラムを書いていただいているのですが、その中でとても勉強熱心なプロが『ション牌の字牌とワンチャンスだったらどっちが当たりにくいのか、スジと1枚切れの字牌だったら? というデータをきちんと知りたい』と書いていたのです。
いざ本を作り出すと、梶本氏による過去になかった2択やみーにん氏による新しいデータをたくさん入れることができました。ぜひとも麻雀の基本をマスターし、かつそれを応用してデータと違う選択もできるようになっていただければと思います。