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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第26回 牌効率(その10)これぞ丸暗記! 7枚形の多面待ち

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第26回 牌効率(その10)これぞ丸暗記! 7枚形の多面待ち

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今さらですが、この連載のタイトルは「暗記ノート」です。
きっと、著者は暗記大好きに違いない。だから、読者にも暗記をすすめるのだな。
と、多くの方が思っていることでしょう。。。

が、現実はまったく逆でして、私は暗記は苦手です。
どのぐらい苦手かといいますと。
自宅の郵便番号や住所をはっきり覚えておらず、ホテルなどで住所を書くときに、スマホを取り出して確認し、フロントの方に不審がられるレベルです。相当まずいですね。

これは、実のところ、世の中の多くのことは、無理して覚える必要はないと思っているからです。だいたい何とかなるかと。
例えば「4×6=24」は、普通は「しろくにじゅうし」と覚えますが、もしそれを知らなくても「4+4+4+4+4+4=24」と計算すれば良いですよね。

では、なぜ暗記するのか。大きな理由は「その方が後々速くて便利だから」でしょう。毎回、4を6回足すのは、時間がかかりすぎます。
麻雀も同じで、実戦では速い判断が求められます。「この形はあれだな!」と覚えていれば有利なことが圧倒的に多い。「これは何と何待ちだっけ…?」と考えているうちに、他家から当たり牌が出て、「ロン」と言えなかったりすると、泣くに泣けません。

ということで、私も、九九のようなものだと割り切って、基本的なことは覚えていくようにしています。
もっとも、すごく難しいことをする必要はありません。ポイントは「繰り返し触れる」ことです。

例えば、少し麻雀に慣れた方なら、[③][④][⑤][⑥][⑦]を見れば、一目で[②][⑤][⑧]待ちだとわかると思います。

おそらく、毎回「[③][④][⑤] [⑥][⑦]と見れば[⑤][⑧]待ちで、[③][④] [⑤][⑥][⑦]と見れば[②][⑤]待ち。あわせると[②][⑤][⑧]待ちだな」などと理屈で考えていないですよね。これは、形を丸暗記できているからです。三面張は頻繁に見かける形なので、自然に覚えているわけです。

これと同じで、ぜひ形で丸暗記して、ぱっと見ただけで分かるようになりたいのは、以下の7枚形の多面待ちです。
一つ一つはそれほど頻繁に出てこないので、普通に打つだけでは身につきにくく、どこかで一気にたたき込んだ方がよいです。一度覚えてしまえば、相当楽になると思います。

7枚とは別の6枚で、すでに2メンツが完成しているテンパイだと想定して、ご覧ください。待ちの枚数が多い順にご紹介します。

1)[③][④][⑤][⑥][⑦][⑦][⑦] → [②][⑤][⑧][③][⑥] 待ち(5種17枚)
  7枚形の王様のような存在です。カンチャン待ちやペンチャン待ち(1種4枚)の4倍以上も当たり牌があります。

2)[③][④][④][④][⑤][⑥][⑦] → [②][⑤][⑧][③] 待ち(4種14枚)
  強力な3面待ちに加え、[③]のタンキ待ちもあります。

3)[③][④][⑤][⑤][⑥][⑥][⑥] → [②][⑤][④][⑦] 待ち(4種13枚)
  リャンメン待ちが2つあるような形です。

4)[③][③][③][④][⑤][⑤][⑤] → [②][③][④][⑤][⑥] 待ち(5種13枚)
  サンドイッチ形と呼ばれる有名な形です。サンドイッチをつくる3つの牌すべてと、その両隣が待ちになります。

5)[③][③][③][⑤][⑦][⑦][⑦] → [④][⑤][⑥] 待ち(3種11枚)
  サンドイッチの隙間があいたイメージです。隙間と具がすべて待ちになります。

6)[③][④][⑤][⑥][⑧][⑧][⑧] → [③][⑥][⑦] 待ち(3種10枚)
  ノベタン待ちに加え、[⑦]のカンチャン待ちがあります。
  このカンチャン待ちは、打ち慣れた方でも、意外と気付きにくいです。
  暗刻と、その近くの牌があると、多面待ちになりやすいので、暗刻がある時は注目してみましょう。

7)[③][④][⑤][⑤][⑦][⑦][⑦] → [②][⑤][⑥] 待ち(3種10枚)
  亜リャンメン待ちに加え、[⑥]のカンチャン待ちがあります。

8)[②][③][④][⑤][⑥][⑦][⑧] → [②][⑤][⑧] 待ち(3種9枚)
  タンキ待ちが3種類ある形です。

9)[③][④][④][⑤][⑥][⑥][⑥] → [②][⑤][④] 待ち(3種9枚)
  リャンメン待ちに加え、中ぶくれの[④]のタンキ待ちもあります、

10)[③][④][⑤][⑤][⑥][⑦][⑧] → [②][⑤][⑧] 待ち(3種9枚)
  階段の途中で踊り場があるようなイメージ。とてもよく出現する形です。

11)[③][③][③][④][④][④][⑤] → [③][④][⑤][⑥] 待ち(4種9枚)
  暗刻が並んだところに、隣の牌が1つくっついた形です。

12)[③][③][③][④][④][⑤][⑤] → [③][④][⑤][⑥] 待ち(4種9枚)
  シャンポン待ちは分かりやすいですが、[③][⑥]のリャンメン待ちもあります。

ここから下の形は、枚数が、普通のリャンメン待ち(2種8枚)より少なく、枚数で有利なわけではありませんが、まあまあ出くわす形です。

13)  [③][④][⑤][⑤][⑤][中][中] → [②][⑤][中] 待ち(3種7枚)
  シャンポン待ちとリャンメン待ちがあわさったような形です。

14)[③][③][③][④][⑤][⑥][⑧] → [⑦][⑧] 待ち(2種7枚)
  タンキ待ちは分かりやすいのですが、カンチャンの[⑦]待ちは見落としやすいです。

15)[③][③][④][④][④][⑤][⑤] → [③][④][⑤] 待ち(3種5枚)
  サンドイッチの具が厚いイメージです。具が厚いのは嬉しいのですが、待ちが5枚だけなのは少し残念です。

この15種類を完璧にしたうえで、実戦で使えるようになるのが目標です。

例えば、

[六][七][八][③][④][④][⑤][⑥][⑧][⑧][⑧][2][2]
でテンパイしているとします。[②][⑤]待ち(2種7枚)ですね。

ここで、[2]をツモるとどうでしょうか。

[七][八][九][③][④][④][⑤][⑥][⑧][⑧][⑧][2][2][2]

テンパイしているのだからと、ツモ切りしそうですが、よく見ると、[④]を切れば待ちを増やすことができます。上の 6)の形です。

[七][八][九][③][④][⑤][⑥][⑧][⑧][⑧][2][2][2]

[③][⑥][⑦]待ちの3種10枚にパワーアップしていますね。
これは、形を丸暗記して、前もって想定していないと、なかなか判断しにくい例です。

同様に、

[六][七][八][③][④][④][⑤][⑤][⑦][⑦][⑦][8][8]

を考えましょう。[③][⑥]待ち(2種7枚)のテンパイで、[③]でイーぺーコーですね。

ここで[8]をツモった時に、[④]を切る手があります。

[六][七][八][③][④][⑤][⑤][⑦][⑦][⑦][8][8][8]

上の ’7)の形で、[②][⑤][⑥] 待ち(3種10枚)にパワーアップします。イーぺーコーの可能性はなくなりますが、待ちが3枚増えるのは大きいですね。

ただ、イーぺーコー含みでテンパイしている時に、それを崩すような選択は、相当気付きにくい。私も実戦で100%できているかと言われれば、怪しいと思います。たぶん、頭の中で「イーぺーコー♪ それイーぺーコー♪」と、イーぺーコー音頭が流れている状態ですからね。
やはり、何度も繰り返して身体に染みこませるしかないのでしょう。

なおこのページでは、ピンズで描きましたが、当然ながらマンズやソーズでも同じです。
また、左右対称でないものは、逆パターンもあります。

例えば 1)は、左右反転して

[③][③][③][④][⑤][⑥][⑦]

だと、[②][⑤][⑧][④][⑦]待ちになります。

また、上の例は中張牌でつくりましたが、端によると待ち牌が減ります。

例えば、11) が端によって

[⑦][⑦][⑦][⑧][⑧][⑧][⑨]

であれば、[⑦][⑧][⑨]待ち(3種5枚)になります。もし「10ピン」があれば待ちになりますが、存在しないので、11)より待ちがだいぶ減ってしまいます。

理想をいえば、上の15種類を、牌の種類を変えたり、左右反転したり、端に寄せたり、あらゆるパターンを作って何度も見ることをお勧めします。実際に、単語帳に様々な牌姿を書いて、訓練している人もいます。
いつかこのコラムでも、多くのパターンの牌姿を示して、印刷すれば練習シートになるような回を設けられればと思います。

一方、そうはいってもすぐには覚えにくいかもしれません。覚えていなければ、その場で考えることになりますが、効果的なコツがあります。それは「3枚ある牌を、まず3枚とも抜く。次に、うち2枚を抜いてみる」という方法です。

上の15パターンのうち、13パターンは、ある牌が3枚ありますね。それを3枚か2枚抜くわけです。

例えば 9)

[③][④][④][⑤][⑥][⑥][⑥]

は、[⑥]を3枚抜けば、[③][④][④][⑤]なので、[④]のタンキ待ち。

[⑥]を2枚抜けば、

[③][④][④][⑤][⑥]

となり、[②][⑤]のリャンメン待ちになります。

一応、覚えていなくても、時間をかければ、正解はわかります。なので、「完璧にしなければ!」と思いすぎないで、気楽に取りくんでみてください。

この方法は、複雑なホンイツやチンイツの待ちを把握するときにも有効です。

例えば

[①][②][③][⑤][⑥][⑥][⑦][⑦][⑧][⑧][⑨][⑨][⑨]

であれば、[⑨]が3枚あるので、

A)[⑨]を3枚とも抜いてみる

[①][②][③][⑤][⑥][⑥][⑦][⑦][⑧][⑧]

[⑤][⑧]待ち

B)[⑨]を2枚抜いてみる

[①][②][③][⑤][⑥][⑥][⑦][⑦][⑧][⑧][⑨]

[④][⑦]待ち

となり、あわせて[④][⑤][⑦][⑧]待ちだと導くことができます。困ったら、3枚抜くか2枚抜くかを試してみてください。

次回は、テンパイの一つ手前、イーシャンテンについて考えます。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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