第一章
Q3 打
麻雀順位計算機によると、この局面で東家からでタンヤオ三暗刻の6400を出アガリした場合、97.4%の確率で2着以上になれるようです(ルール上3着以下は何が何でも2着以上を目指して打つので、実際はもう少し低くなりそうですが。)。
それなら今回のような残りツモ1回、よりの方がリーチに通りやすいという条件下に限らず、ツモり四暗刻に受けない方が若干アガリやすい程度でも役満テンパイに受けないという選択が有力になりそうです。条件が揃っているので、あえて最高形に受けないという打牌は心理的になかなか選びにくいもの。今回のように結果的にアガリ逃すケースもあるので尚更です。
ただ、先制テンパイした時点では、がに比べると他家に使われやすく、残り1枚のはダマならツモらないとあがれないので、打ダマよりは打ダマの方がよく見えます。
Q4 スルー
チートイツ1シャンテンよりトイトイ1シャンテンの方がアガリやすいというのは、トイツが比較的使われやすい牌であっても、他家にとって不要になればそれなりには切られることが前提。
今回東家北家は南家の鳴きに押す必要がほぼ無く、西家もソーズホンイツ傾向で字牌を持たれている可能性が高い、がドラ表示牌と鳴きが期待できない条件が揃っています。チートイツに決めればテンパイする受け入れは3種9枚なので、1人から鳴けるかも怪しい3種5枚のトイトイよりはテンパイしやすさでもアガリやすさでも勝ると言えるため今回はスルーします。
Q5 打
ポンできる牌が出ても鳴かず、もスルーしたのでツモり四暗刻1シャンテンになる変化にもほぼ期待できなくなった以上、も残して暗刻のを外します。チートイツはロンでもツモでも符が変わらないので、ホンイツが崩れてもリーチツモチートイツで6400、裏が乗れば跳満と打点面でもそれほど劣らないというのも見落とされがちなメリットです。
手牌だけみるとこの残しには非常に違和感があるので、観戦者からはあたかも山に残っている牌を読んだかのように見受けられます。更にこのが実際に重なってテンパイになるのですから、ますます山が透けて見えているのではないかという印象を与えます。
しかし実際は本で言及されている通り、トイトイにしない以上は仕方なく残した牌であり、が重なったのもあくまで偶然です。タイトルは「神眼の麻雀」とありますが、この本で取り上げられている問題に関してだけ言えば、山読みについてこれまで言われてきたような常識を超えるような読みの技術が発揮されている例は見受けられませんでした。
むしろ私は成岡プロの打ち筋から、読みとは別に、既に見えている情報を素早く処理して、打牌判断に反映させる能力に極めて長けているという印象を受けました。
本記事に関するご紹介
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