第五章 魔術師の独白1
4メンツ1雀頭の意識
牌1は高め純チャンもありますが、無かったとしてものリャンメン落としとします。本書では打と打を比較して、リャンメンがリャンメントイツになった時の変化の強さで打を推奨していますが、1シャンテンになる受け入れ枚数でも、リャンメントイツができる変化の強さでも、落としは打に勝ります。
「もっと勝つための現代麻雀技術論」第51回でも取り上げましたが、リャンメン落としがいかに盲点になりやすいかがお分かりいただけるかと思います。
「好牌先打」
リャンメンを固定して浮き牌を残すのは、「手作り」「安牌残し」「迷彩」「絞り」のいずれかあるいは複数を意図した打牌です。現代においてはこのような、「好牌先打」に相当する打牌はあまり有効ではないという考え方が主流になっていますが、これは、リャンメンを固定して浮き牌を残す意図を、「手作り」「安牌残し」「迷彩」「絞り」のいずれか一つに絞るのであれば、リャンメン固定が有利になるケースは少ないということが検証されてきたためです。
逆に言えば、意図が多岐に渡るようなリャンメン固定についてはこの限りではありませんし、私自信も実戦で用いることも少なくないです。「手作り」に関しては、手牌が「面子候補不足」「面子候補十分」「面子候補オーバー」のいずれかによってリャンメン固定の意味合いがまた変わってきます。「好牌先打」という意味の広い言葉にとらわれることなく、あくまで現時点での手牌、局面においてベストな選択は何かを考慮して打牌選択すべきでしょう。
チートイツ、序盤の構え方
「テンパイ率に大差なければ、メンツ手にも見えるように河を作ることで出アガリ率を高める。」「スジで持っている牌が重なりやすいわけではないが、スジで持っている牌が重なるとき、他家のメンツ手が出来にくい分チートイツがアガリやすい。」。「もっと勝つための現代麻雀技術論」第48回、49回で取り上げたことと同様の内容が示されています。
このコラムが書かれたのは2006年、私がweb版の「現代麻雀技術論」を記す前。本書で言うところの、「甘いデジタル小僧」だった頃のことです。従来の戦術論には誤った内容も多かったとはいえ、先人達の鋭い洞察力には時に感服させられます。
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