「ポン」「チー」「ロン」といった発声以外は黙々と戦いが繰り広げられる麻雀。しかし、戦い終われば名だたるプレイヤーたちが味わい深い名言を残してきた。Mリーグで活躍する選手たちもインタビューやSNSにおいて、魅力的な言葉を日々発信し続けている。本記事では、そんな麻雀にまつわる珠玉の言葉についてご紹介しよう。
Mリーガーたちが語った金言
毎年、その知名度が上昇し続けているMリーグ。試合後のインタビューを通して、Mリーガーの個性や発言についても注目されることが増えてきている。まずは、Mリーグを代表する3人の個性派雀士による「金言」について掘り下げていきたい。
「負けないというのは結局何も得られない」佐々木寿人
「負けないというのは結局何も得られない」。こう発言するのは攻撃的なMリーガーの代表格、麻雀格闘俱楽部の佐々木寿人だ。大きなトップだけを目指して突き進み、ラスを回避する麻雀には活路を求めない、という主旨の発言には自身の麻雀に対する信念が満ちあふれている。有言実行とばかりに8万点、9万点オーバーをたたき出す超攻撃的な麻雀を楽しみにしているファンも多く、「攻めのヒサト」は今やMリーグ名物といってもいいだろう。
「ランダムとは、均等ではなく偏る」小林剛
「ランダムとは、均等ではなく偏る」と語ったのは、Piratesを支える船長こと小林剛だ。「スーパーデジタル」の異名も持つ小林の名言には続きがあり、「つまり、偶然っていうのは続くもの。ランダムが均等を意味するのなら、ホンイツなんて役は存在しない」とも語っている。小林の考え方が凝縮されているこの言葉の意味を理解して麻雀と向き合えれば、苦しい展開も苦にならない強靭なメンタルが身に付くのではないだろうか。
「Mリーガーはかっこよくなければならない」萩原聖人
「Mリーガーはかっこよくなければならない」。俳優でありMリーガーの萩原聖人による言葉だ。麻雀界の広告塔を演じる覚悟を決め、雷電の一員となった萩原。自身やチームの成績は低迷が続いているだけに、目先の勝利にはこだわりたいはず。しかし、それ以上に萩原が切望しているのが麻雀界全体の盛り上がりだ。競技としての麻雀の地位を高めるため「最高峰たるMリーグの選手はかっこよくあれ」との信念を強く持ち、リーグ発展のために全力を尽くしている。
レジェンドたちが残した名言
麻雀界のレジェンドたちが残してきた言葉は、豊富な経験に裏打ちされた価値あるものばかりだ。麻雀を打つ時に役立つのはもちろん、人生にも効く名言をご覧いただきたい。
「俺は確率ってやつが好きじゃない」小島武夫
「俺は確率ってやつが好きじゃない」そう語ったのはミスター麻雀・小島武夫だ。モンド名人戦で見せた伝説の九蓮宝燈をはじめとした闘牌は、確率論を超越する魅力的な対局として今でもファンの記憶に刻まれている。「天下の小島が千点でアガれるか」と語り、魅せて勝つ麻雀を追求し続ける姿は麻雀プロとしての矜持に満ち溢れていた。そんな小島さんが残した言葉の数々からは生き方や信念が感じられ、麻雀の世界だけにとどまらない魅力溢れる言葉がそろっている。
「人生、9勝6敗でいいんだ」阿佐田哲也
「人生、9勝6敗でいいんだ」と発言したのは、雀聖とも呼ばれた作家の阿佐田哲也だ。さまざまな勝負事から学んだ経験を大相撲の勝敗に例えた人生訓がこちらの名言。ギリギリ勝ち越しの8勝7敗では物足りないが、2ケタ勝利までは望まない。雀聖が残した言葉は「勝敗のバランスをうまく取りながらも、多少はプラスで終えたい」という人間の欲についての真理をズバリ突いているといえるだろう。
「不調こそ我が実力」桜井章一
「不調こそ我が実力」という言葉は桜井章一が発した名言だ。「雀鬼」の異名をとり、映画や漫画など数多くの麻雀作品のモデルにもなってきた桜井さん。雀鬼流哲学の基本ともいえるのが、調子が悪い時の力を基準とする考え方だ。好調時を基準にすると、調子を崩した場合に現実を受け入れにくい。不調が基準なら悪い状況を冷静に受け止めてすぐに対策できるというこの考えは、麻雀以外の人生のあらゆる場面で役立つことだろう。
麻雀の戦術に関する格言
誰がいつ言い出したかは不明ながらも、麻雀愛好者の間に広く伝わっている「教え」のような言葉が麻雀格言だ。根拠もしっかりとした言い伝えから、単なるダジャレに近いものまで幅広いが、ここでは「なるほど」と思わせる麻雀格言をピックアップしてご紹介しよう。
単騎は西で待て
単騎待ちの場合、警戒されにくい牌。字牌で言えばオタ風となりやすいで待てばアガリやすいという意味で、定番中の定番といえる麻雀格言だ。2022年2月11日に行われたMリーグの第1試合では、瑞原明奈(Pirates)と日向藍子(ABEMAS)が立て続けに七対子のアガリを決めた。しかも、待ちは2局とも。格言が現代にも生き続けていることが証明された「珍事」となった。
2020年2月25日の試合では黒沢が単騎で四暗刻単騎をアガった。内川は河底での放銃となり、苦悶の表情を浮かべながら切るか切らざるかを精査している表情が非常に印象的で、CMにも使われるシーンとなった。内川はこの放銃で「西川さん」と呼称される事も増えたようだ。
ドラは出世の妨げ
ドラを抱えたままだと理想形となる高打点の手役を作れなくなってしまうということを表した格言だ。もともとは「出世=高い役」だが、「出世=アガリ」と解釈すれば「早くアガるためには、早くドラを切る胆力も必要」という意味になる。いずれにせよ「特定のことに固執していると判断を見誤ってしまう」ことを示唆しており、実社会にも当てはまる格言といえるだろう。
序盤の裏スジ、中盤以降の跨ぎスジ
序盤に切られた牌の裏スジは危険で、中盤を過ぎると跨ぎスジが危なくなるといった意味の格言だ。手牌を整える段階の序盤にはからを切ることが多いだろう。だが、手が整ってくる中盤以降にはという整った形から立直宣言でを捨てることが多くなる。このように、実践の中でよくあるパターンを明文化した格言といえるだろう。
自分にとっての名言を探してみよう
今回は麻雀に関する名言について紹介してきたが、取り上げた言葉はほんの一部に過ぎない。麻雀界を沸かせてきた雀士による名言はまだまだ存在し、雀力アップに役立つ麻雀格言も数多く伝わっている。自分の心に刺さる言葉を見つけ、麻雀における「座右の銘」としてみてはいかがだろうか。きっと自分が目指す理想の麻雀像に迫るための羅針盤となってくれることだろう。