安牌残しには手牌構成を読まれやすくなるデメリットもある
前回、手作りのうえで不要な浮き牌であれば、将来他家がテンパイした時により安全になる牌を残した方がよいと申しましたが、安牌を残すことは、受け入れや変化が減ること以外にもデメリットがあります。それは、他家に手牌構成を読まれやすくなるということです。
例えばとある2面子形1シャンテンで、を残して打、テンパイで打リーチとすると、なら基本的に打とするので、を含む面子候補が残っている可能性は考えにくいというように手牌構成が読まれやすくなります。手牌構成が読まれやすいとその分他家からの出アガリ率が減りますし、他家に押し返されるケースも増えることも考えられます。
もちろん、先制テンパイの時点で他家に読まれやすい捨て牌になっていようが基本的に有利である以上、からを切ることはないですし、受け入れに差はなくても、将来放銃する可能性の高い牌を抱えていればそれだけ和了率を下げることにも繋がるので、基本は安牌残しで問題ありません。逆に言えば、アガリの価値が特に高く、将来放銃する可能性が高い牌を抱えるリスクが低い局面であれば、読まれにくくするために安牌を抱えない選択も考えられます。
他家に手牌構成を読まれにくいように手作りすることを、昔から「迷彩」と呼びますが、「迷彩」と呼ぶと、いかにも無さそうな待ちで狙い打つくらいの限定された手作りのイメージがあるので、私は、待ちを読まれにくくするための打牌選択全般を、「河作り」と呼んでいます。
「河作り」が有効な場合
アガリの価値が特に高く、将来放銃する可能性が高い牌を抱えるリスクが低い局面、つまり、序盤で高打点の手ほど河作りが有効になると言えます。その中でも、メンゼン手より鳴き手の方が有効になります。理由としては以下の3つが挙げられます。
・鳴き手の方が待ちを読まれやすい
特に手役狙いの場合は待ちを特定されやすくなりますね
・鳴き手には、ある程度は押すという判断をされることが多い
何でも押してくる他家や、完全にベタオリする他家には河を作るメリットがないですね。逆に言えば、ある程度は押すという判断をしてくる他家が多い 時ほど、河作りが効果的になります。
・鳴き手にはメンゼンツモの1翻がつかない
リーチして他家が降りるデメリットをそれほど気にしなくていいのは、降りた場合はツモの1翻がついてアガリ平均打点が高くなる影響もあります。
一色手やドラが多くあって高打点が確定している鳴き手の場合は、少しは河を作ることにも意識を向けてみるといいと思います。チャンス手だからこそ何から切っても同じではなく、少しでもアガリ率を上げる選択を心がけたいもの。手牌に残すだけでなく、河に捨てるのもまた、「牌を活かす選択」にもなるのです。
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