ケース5
A打 B打 5ブロックの受けを狭めて手変わりのために浮き牌を残すのは、言ってみれば6ブロックにしているようなものなので、手変わりとしてそこまで強くない浮き牌は残さないことが多いものです。アガリに遠い段階でなるべく高い手を目指したい場合は、そもそも役に絡まないメンツ候補を外して4ブロック以下にする(シャンテン戻し)ことが多いので、5ブロックを維持しつつ手変わりを目指す選択は、従来の麻雀戦術で言われてきたよりは有効とは言えないことが分かっています。
Aに関してはリャンメンが揃った5ブロックに加えてドラまであるので、を残して仮に三色になるとしても、その時は他のリャンメンとドラを外すことになります。ドラにくっついて変化した場合も、を残さずリャンメントイツが残っていた方がよいとなると、を残して得をするのは、他にメンツができる牌を引く前にを引いたときくらい。「特定の牌()を引いた時より、特定の牌を引かなかった時に有利な選択優先」ということでを切ります。
一方、ドラは他にメンツが出来た時もまだ残す牌。牌姿Bになっても、ドラツモだけでなく、ツモもよりよい変化と言えるので4巡目ならまだ抱えておく方がよいとみます。「特定の牌()を引いた時以外でも有利になるので、手変わりのメリットが大きい牌は優先して残す」ということです。
メンツ候補が全てリャンメン以上の6ブロックからリャンメンを落とすことがとつげき東北HP上で提言されてから最早15年以上になります。当時は実に95%の人が6ブロックに受けると回答したとのことで、今でも多数派になっているとまでは言えないと思います。
ただし、アガリ率の面で大差つくわけではないということも分かっています。今回は先切りで高め三色のが出やすいようにすることで実質的に高打点の受け入れを増やしているとも言えるので、牌姿Aから打としてツモの場合は打が有力とみます。
ケース6
A打 B打 役に絡まないリャンメンよりも、役に絡む悪形メンツ候補(のように、手役を確保するのに手変わりが不要であるメンツ候補を指す)の方が基本的に価値が高いです。受け入れ枚数の差がアガリ率に最も影響するテンパイ時でさえ、リーチ平和とカンチャンリーチ三色(ドラ無し)は基本後者有利なのですから、アガリに遠い段階であればなおさらです。
牌姿Bは既にトイツで1翻あるので、234三色にはなりづらく狙うメリットも薄いですが、巡目が早い段階のペンチャンと浮き牌3の比較なら、単純なメンツのできやすさでも前者が有利とまでは言えないので一応三色が残る方がよいと判断しました。
本記事に関するご紹介
問題は悪い配牌をもらったとき。この場合はアガリに向かうのか守備に重心を置くのか、アガリに向かうにしてもどの手役を狙うのか(どの手役も遠い)、第1打から考えるべきことが多くなり、不確定要素も増えます。そしてこのジャンルは麻雀研究においても未開拓の分野です。
そして、この「超序盤の戦略」こそ、強者と弱者の差がつく、残された分野なのです。
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