ケース9
A打B打Cリーチ 雀頭を崩す打とすることで、打点が1翻以上(2倍程度)高くなる手変わりは牌姿Aが5種18枚、Bは4種14枚。これだけなら、3巡目とはいえ手変わり待ちが有利とまでは言えないラインです。
しかし今回は2枚目のを落とす際に何らかの中張牌を引いて更に手広い1シャンテンになるという二段階変化まであります。ABについては巡目が深くならないうちに1〜2種手変わり牌が増えるだけでもリーチのみリャンメンテンパイより有利な1シャンテンになるので、手変わり待ち有利とみます。
Cはリーチのみリャンメンより有利な手変わりがツモのみ。こちらも手変わり待ち有利になる二段階変化があるのでテンパイ外しも悪くないとみますが、そのような牌を引いて、なおかつテンパイする牌を引くとなると3巡目とはいえ猶予が無いことが多いとみて即リーチが無難とみます。
牌姿Bから打としてすぐをツモった場合は、三色変化があり、三色以外でもノベタンよりはよいと言える手変わりがそれなりにあります。その手変わりも5種程度なので明確に有利とまでは言えませんが、役アリダマを維持したうえでの手変わり待ちなので多少手変わりが少なくても手変わりが待てそうです。2〜3巡して手変わりしなければ即リーチするつもりでダマというところでしょうか。
ケース10
打 今度は雀頭を崩した場合の手変わりはのみと更に減りますが、チャンタで2翻、あるいはチャンタ+ドラドラで4翻まで高くなります。今回はリーチツモ裏1でもラスのままの南家なのでシャンテン戻しは当然ですが、東1だとしてもここまで打点差があれば、ツモで即リーチを打つよりは、が残った雀頭無し1シャンテンの方がアガリ率ではかなり落ちるとはいえ有利でしょう。今回もへのくっつきツモで更に手変わり牌が増えます。
東1局に打とした場合は鳴きます。ドラ単騎が残る可能性が高いとはいえ、悪形をメンツにしたうえで鳴いても高いとなると迷わないところです。
これが10巡目とかであれば流石に1シャンテンに取りますし、悪形のみ手でリーチしないとしてもテンパイ料がある以上テンパイにとった方がよいとみますが、そもそも1シャンテンの時点でこの牌姿になるような手牌であれば、他の何らかのヤオチュウ牌を残してトイツをもっと早い段階で落としていることがほとんどでしょう。
悪形リーチのみそのものが損というわけではないことは、『「統計学」のマージャン戦術』で示されている通りです。打点が絡む何らかの浮き牌がある時点で、最善を尽くした結果が悪形リーチのみになることは稀であるので、「悪形リーチのみはほとんど打たない」という実力者が多いのだと思われます。
本記事に関するご紹介
問題は悪い配牌をもらったとき。この場合はアガリに向かうのか守備に重心を置くのか、アガリに向かうにしてもどの手役を狙うのか(どの手役も遠い)、第1打から考えるべきことが多くなり、不確定要素も増えます。そしてこのジャンルは麻雀研究においても未開拓の分野です。
そして、この「超序盤の戦略」こそ、強者と弱者の差がつく、残された分野なのです。
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