第5章 「裏スジは危険」ではない!
こちらも、「裏スジでない無スジ全体」と、「裏スジ全体」の比較であることに注意が必要です。
本書の内容に対して、「裏スジが危険になるのは序盤の手出し牌に限る」という反論がなされたことがありますが、これについても「裏スジでない無スジ全体」との比較であれば危険でないことが分かっています。
しかし、「序盤の外側(いわゆるまたぎスジ)」が、「序盤以外の外側」より安全なのですから、それとは逆に、「序盤の裏スジ」が「序盤以外の裏スジ」よりは危険になるということは推測できます。また、裏スジが危険にならない理由はカンチャン、ペンチャンには当たりにくくなるためなので、元々カンチャン、ペンチャンに当たることがない19牌に関しては、序盤に5が切られることで他の無スジ19牌に比べると危険になると言えます。
「間4ケン」という幻想
牌の組み合わせからすれば1.2倍程度の危険度といっても案外高いとも言えますが、押し引き判断に影響することはあまりなさそうです。
ノイズを排除せよ!
本書以前の「読み」について書かれた麻雀本もいくつか読んだ身としては、従来の「読み」に関する戦術が単なる「デマ情報」だったとまでは思いません。限定的な局面を扱った読みに関しては、現代の視点でも理に適ったものも確かに存在します。
問題は、部分的に成り立つ「読み」を、全体的に成り立つものとみなしてしまったことと、「何と比べて」「どの程度」危険なのかが明確にされなかったので、正しいかどうか検証されることなく言葉だけが残ってしまったということにあるのではないでしょうか。
前回レビューしました『デジタルに読む麻雀』では、本書の内容を受けつつも、「読み」は決して不要ではないという立場から書かれています。立場的には真逆ですが、ノイズを排除し、必要な情報のみを取り入れるというスタンスはどちらも変わりません。「自分は読みがもっと上手くなりたい」と思われた方は是非とも御一読されることをお勧めします。
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