- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
PART4 副露読み
3 チー出し牌の法則
「リャンメンチーしてフォロー牌以外の数牌が出てきたら、マタギ以外のリャンメンには刺さりにくい」。同様のセオリーは『麻雀強者の0秒思考』でも取り上げられています。言うなれば「チー出し牌のソバが危険」の逆ですが、セオリーとして取り上げられるようになったのはここ数年の話で、まだあまり浸透していないように見受けられます。
待ち読みのセオリーの言葉だけを暗記しようとするとうろ覚えになる恐れもあり、正しく覚えていても例外に対応しづらくなるので、本書で取り上げられている通り、「手牌の復元作業」をする習慣をつけるようにしたいところです。
「待ちの形を絞る」作業についても「通る理屈を詰める」作業と合わせて行うことでより精度を高めることができると期待されます。余裕があれば補足資料も押さえておきたいところ。読みに関してここまで体系的な記述がされているものはこれまでに類を見ません。「麻雀道」を究めるうえで、本書は必読と言っても過言ではないでしょう。
4 どこまで読めるか
ここまで体系的な「読み」に関する記述を読むと、是非とも実戦で活用したいという気持ちにもなります。しかし注意したいのは、読みを入れるためにはそれ相応の材料が揃っている必要があり、実戦では例題のように、そこまで読みの材料が揃っていない鳴きの方がむしろ多いということです。
他家の仕掛けに過敏になるとつい、相手に高打点テンパイが既に入っている「最悪のケース」を想定しがちになります。しかも、「最悪のケース」を想定できる打ち手は、想定できない打ち手よりは実力者であることが多いものですから、自分のミスがどこにあるのかも益々気付きにくくなる傾向にあります。
本書に書かれてある通り、安手や愚形の牌姿で手牌を復元しても何ら矛盾なく成立するかどうかを確認することが、さほど警戒しなくてもよい鳴きとそうでないものを区別するうえで重要になります。「読めないものは読めないと認識する」これもまた立派な「読み」の技術の一つです。
鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム
「麻雀は考えるのが大事とよく言われます。では実戦でどうすればより良い思考ができるでしょうか。答えは単純で、『考えられた結果を手が勝手に出力する』ようにすること
です」(まえがきより)
麻雀とは人間の処理能力を超えた情報量を与えられ、限られた時間でそこから最適解に近いものをいかに導き出すか、というゲームであると言えます。
その際に役に立つのが「システム」です。状況をある程度パターン化し、抽象化することで個々の事象に対して、最善の選択をする可能性を上げることができます。
本書があなたに提供するのは最高レベルのシステムです。驚異的な打荘数で知られる「鬼打ち天鳳位」ことお知らせ氏が生み出し、磨き上げられた55のシステムとその詳細な解説が本書に書かれています。