- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
PART5 点数状況判断
9 ツモられて負けなら押すべきなのか
「ツモられて負けだから押し」これもよく聞く言葉ですが、結果的に押すのが正解になるのは「自分がアガれる」かつ、「自分がアガらなければアガられて逆転される」場合なので、実際には引くべきことも増えます。自分の手のアガリやすさ、アガれた時の着順上昇があるかによって判断が変わりやすいので、言葉通りに受け止めるとミスをしがちです。
降りた場合にどの程度アガられるのか、押した場合にこの待ちならどの程度アガれるのかといった具体的なデータについては、『統計学のマージャン戦術』に記載があります。そこにルールに応じた順位点を合わせれば、局収支期待値を求める場合と同じように順位点期待値を求めることができます。余裕があれば実戦で出現しやすいケースについて予め押し引きの基準を押さえておくようにしたいですね。
10 他家の挙動を考える
着順を維持するだけなら、自分のアガリでなくても、上位の他家のアガリ、下位と点差がついていれば差し込みでも目的は達成されます。手牌Cのように鳴くことでアガリ率が明確に上がり、上位も狙えるようであれば問題無く仕掛けますが、手牌ABのように鳴いたところでアガリ率が上がっているといえるか微妙な場合は上位者のアガリ率を下げない為にスルーすることになります。逆に言えば自分がラス目の場合は、誰かが放銃してラス落ち以外の他家のアガリは全て都合が悪いので、上位者のアガリ率を下げるうえでも仕掛けて圧力を掛け、形テンでも流局して連荘すればよしの構えを取ることが増えそうです。
もちろんここまではアガリに遠い段階の話なので、Q21のように自分がテンパイ、加点で上位が見込めるような場合は、天鳳ルールであってもアガった時のリターンを高めるように打つに越したことはありません。この辺りも正しく区別して打ち分けるようにしましょう。
鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム
「麻雀は考えるのが大事とよく言われます。では実戦でどうすればより良い思考ができるでしょうか。答えは単純で、『考えられた結果を手が勝手に出力する』ようにすること
です」(まえがきより)
麻雀とは人間の処理能力を超えた情報量を与えられ、限られた時間でそこから最適解に近いものをいかに導き出すか、というゲームであると言えます。
その際に役に立つのが「システム」です。状況をある程度パターン化し、抽象化することで個々の事象に対して、最善の選択をする可能性を上げることができます。
本書があなたに提供するのは最高レベルのシステムです。驚異的な打荘数で知られる「鬼打ち天鳳位」ことお知らせ氏が生み出し、磨き上げられた55のシステムとその詳細な解説が本書に書かれています。