- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
第1章 基本となる手組みの考え方
case4 孤立数牌と字牌どちらから切るか
ケース2、3は牌ごとの優劣を覚えるだけで対応できましたが、メンツのできやすさ以外に比較する要素がある場合は単純に比較できません。このようなケースは「手牌全体に着目して、1手進んだ形を比較」するのが判断のコツです。
孤立字牌も端牌も序盤から切り出される牌なので、これらの比較をするのは配牌に近い段階。牌姿1は「13332」の1シャンテン。1手進めばテンパイします。ツモでテンパイした場合、西家以外は役牌にならない単騎で待つのが最もアガリやすくなります。
また、配牌に近い段階で1シャンテンなら、手牌の進行はかなり早いと言えます。ケース1で触れましたように、このような場合は役牌を鳴かれてアガリ率を落とすリスクを避けるのがセオリー。よって牌姿1からはでもでもなくを切ります。
牌姿2は「13331」の2シャンテン。これもかなり手牌の進行が早い部類。メンツ候補が足りていないので、からターツを作る受けも残しておきたいところです。鳴かれる前に切る打か、リーチのみでは打点に乏しいのでがコーツになる可能性までみる打かは難しいところ。もっと手牌の進行が遅い場合は役牌残しが明確に有利なので、手組の基礎を学ぶ段階であればこれくらいの手牌でも役牌を残すように打つのをお勧めします。
しかし、今回の手牌は配牌にしてはかなり早い部類。実戦では、「23221」の3シャンテン、「23211」の4シャンテンあたりが出現頻度が高く、アガリ率も平均的です(配牌の平均シャンテン数は約3.58)。これくらいの手牌なら役牌の重なりも、端牌からメンツができる受けも残すに越したことはないので客風から切ります。
4シャンテンでも、「22221」のように1メンツもなく、ターツも悪形が多いとなると配牌でも遅い部類。このあたりから守備重視で字牌を残して端牌を切ることが多いです。このあたりの選択は本書にある通り人によって様々ですが、私ならこのあたりに分岐点を置くことをお勧めします。
麻雀技術の教科書
読めば勝率が上がる! すべての雀士必携! 新しい麻雀戦術書!
麻雀の打ち方は人それぞれです。
本書の著者の二人を比べてみても、井出プロは手役重視、
小林プロはスピード重視と、スタイルがかなり違います。
打ち方が正反対の二人に共通する考え方があれば、
それは、現代麻雀のセオリーといえるのではないか。
この問いから、本書は生まれました。
「アガリ方の基本を1冊に」
「複雑な牌姿でも、迷わず打てるように」
というのが基本方針ですが、
ルールを覚えたばかりの人でも読めるように
丁寧に解説することを心がけました。