- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるもの、または更に掘り下げたい部分等を取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
▼書籍版
▼Kindle版
1の巻 侍Aリーガー(麻雀との出会い 麻雀にのめり込む ほか)
2の巻 初タイトル、RTD優勝!(麻雀プロ団体対抗戦 団体戦メンバー ほか)
3の巻 二冠達成 モンド優勝!(モンドチャレンジマッチ 第19回モンド杯 ほか)
4の巻 侍プレイバック(侍プレイバックって何? プレイバック パート1 ほか)
※実戦譜が掲載されている四の巻のみのレビューとなります。
プレイバック パート2
配牌の段階で三元牌の対子が1枚も無いところからの大三元。大三元和了の牌譜はいくつも見てきましたが、3種とも1枚切れになってから重なった例を見るのは初めてです。
三元牌が2種ポンされてる場合に、3種目の三元牌の放銃率がどの程度あるのかについては、河次第で大きく変動すると考えられます。
例えば手牌が ポンとあれば、大三元狙いでかのトイツ落とし。あるいは字一色まで狙ってマンズのメンツを落とすことになります。ホンイツに役牌を2つ付けるだけで満貫になる手にも関わらず、字牌トイツやメンツよりも優先して残す牌があったことになるのですから、2種目の三元牌が鳴かれた時点で、3種目がトイツ以上の可能性は極めて高いと言えるでしょう。こうしたケースを意識せずに、「三元牌の3種目がトイツになっていることは稀だから、こちらも勝負手なら切る」と判断してしまうのは危険です。
しかし今回は染め手傾向というだけで、が持たれている可能性が特別高いと読める要素は特にありません。(ただし、がいずれも2枚目から鳴かれているので、「大三元が狙える手牌なら染め手にしないのでは持たれている可能性は低い」と読めるわけでもないことにも留意する必要がありそうです。)
一般論として、ホンイツ傾向で染め色が余った2フーロ手のテンパイ率は9巡目で52%程度、そのうえで2枚見え(1枚切れ)字牌の放銃率は5%もありませんが、このことを理由に放銃はレアケースと断じるのも早計です。字牌待ちに関しては、巡目が深くなるにつれ放銃率が急増しています。
これが意味するのは、巡目が深いとテンパイの可能性が高く、待ち候補がかなり絞られるので、相対的に通ってない字牌の危険度が跳ね上がるということ。リャンメン待ちの場合は待ち候補が絞られる前にアガってしまうことが多いので、リャンメン待ちにならない字牌待ちの放銃率が特に上がることになります。
テンパイ率についても、染め色余りホンイツ2フーロが52%はいささか低いと感じる方も多いと思いますが、これはそれだけ「ブラフ」に近い鳴きも含まれるということ。本書でもブラフの可能性が指摘されていますが、ホンイツブラフというのはおよそホンイツ以外のアガリが困難なところからなされるもの。役牌ポンから染めずとも局消化で十分なトップ目南家の選択としては考えにくいのではないでしょうか。2フーロからピンズホンイツ狙いだとすればノーテンから切られるパターンが少ない手出し。テンパイの可能性が高いうえに、待ちも結構絞れているのですから、の放銃率は10%よりは高いかもしれません。
ただ、それでもラス目親で高めツモ6000オールのリャンメンテンパイとなると、勝負せざるを得ないというところでしょうか。仮に大三元という手役が存在せず、「ホンイツ」の満貫だとすれば当然押す一手で、満貫放銃でも終局時にラスのまま終わることが多い以上、役満放銃のリスクを踏まえても結論が覆るまでには至らないと考えます。
結果的にはをつかんだ時点で即切っていれば放銃せずに済みましたが、この時点では悪形残り2シャンテン。たとえ「ホンイツ」の満貫だとしても、放銃リスクを負うだけのリターンに乏しいので切らない方がよいとみます。
三元牌の3種目を切るかどうかについては、「大三元、小三元という役が存在しないなら切るかどうか」をまず判断し、そのうえで、「大三元、小三元という役の存在が、三元牌を持たれている可能性を有為に上げるような河情報が無いか」を確認して改めて切るかどうかを判断するようにすれば、安易に切ってしまうミスも、何が何でも切らないと決めつけてしまうミスも減らせると思います。
必勝!麻雀実践対局問題集
RTD、モンド優勝の麻雀侍が自らの麻雀人生を語る
「あなたにとって麻雀とは何ですか?
と聞かれたらボクは『生きざま。己を表現するもの』と答えるだろう」(まえがきより)
自らの生きざまを麻雀で表現する平賀聡彦プロ。その超攻撃的な雀風でファンを魅了しながらもRTDリーグ2017優勝、第20回モンド杯優勝と結果を出し続けています。
本書はその平賀プロによる初の麻雀本です。戦術書というより、平賀プロがこれまで麻雀とどのように関わり、どんな麻雀を打ってきたか、そのときどんなことを考えていたかを語る内容になっています。
本書で平賀プロの麻雀(=生きざま)に触れ、こんな打ち方もあるのか、こんな考え方もあるのか、と麻雀の新しい可能性を見つけていただければ幸いです。
1の巻 侍Aリーガー(麻雀との出会い 麻雀にのめり込む ほか)
2の巻 初タイトル、RTD優勝!(麻雀プロ団体対抗戦 団体戦メンバー ほか)
3の巻 二冠達成 モンド優勝!(モンドチャレンジマッチ 第19回モンド杯 ほか)
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