手組みの達人第22回 #何切る
— ネマタ (@nemata1632) May 31, 2020
東1局南家7巡目 ドラ北
679m67789p666789s
ドラ
麻雀クイズ第22回でも取り上げた、小島プロの麻雀本からの出題。一般雀士の方が切りを主張したのに対して、小島プロは切りで789三色を指向すべきと解説されています。
今回の手牌はアタマの無い1シャンテン。アンコはメンツにもアタマにもなるので、アンコを崩しても1シャンテンとはいえ、テンパイする受け入れは大幅に減ってしまいます。打ならツモでも三色テンパイになるのですから、価値の高い受け入れに限っても打が勝ります。ノーテンからアガリを目指すうえでアンコを切り出すことはほとんどありません。手役を狙うにしても、今回のようにターツ固定やターツを落とす手にもっとよい選択があるものです。
この解説に対して、切り以外の手はないと異論を唱えたのが、『リーチ麻雀論改革派』の天野晴夫氏。リャンメンが残るうえに、三色は789ではなく678、あるいは567が狙えるというのがその理由です。
回答も切りが多数派となりましたが、私は小島先生同様打に分があると判断しました。理由は第9回で取り上げたように、リャンメン待ちのリーチ平和(2翻30符)と、カンチャン待ちのリーチ三色(3翻40符)なら、後者にやや不利な仮定を置いたとしてもまだ後者が有利であること。確かに打としてもツモなら678三色が残り、ツモは平和もつくので打有利ですが、ツモは789三色確定に受けられる打が有利。ツモに関してはリーチのみリャンメンとリーチ三色カンチャンの比較になるので、ますます打に分があります。
打はツモでテンパイに取ると役無しカンチャンになりますが、「テンパイに取らない方が有利」なのであればツモ切ればよいだけ。第19回でも取り上げましたように、イマイチな受けを拒否するのではなく、高めの受け入れを優先するのが手組を考えるうえでのコツです。
天野氏は書籍の中で、のようなメンタンピン三色の1シャンテンを理想とされています。はに代わる安牌。もしくは567、678三色両天秤にとれるというところですが、この形になるようであれば、打としていればカンの789三色テンパイ。見た目の美しさでは前者が勝るかもしれませんが、実利なら後者が勝るのではないでしょうか。
こうしてみると、当時の戦術書の問題点は三色のような「手役」を狙い過ぎていたというよりは、「変化」を過大評価していた点にあることに気付かされます。その理由の一つとして、第1回でも取り上げたように、「遠い変化を見据えることができる人は、目先しか見えてない人より実力で勝る」ことが挙げられるのではないでしょうか。実力者が実力者であるが故に誤った考えに陥ってしまうことが多々あるというのも、麻雀ならではの面白さですね。
手組の達人第23回
ドラ