美しいと思っている手役は緑一色と九蓮宝燈と言ったので、今回は緑一色にまつわる私のエピソード。まだ対人戦を滅多にすることがなかった高校生の頃、休みの日は専らゲームソフトで麻雀を打っていた時のこと。配牌から緑一色の牌がたくさんあり、ひょっとしたらいけるかもと一目散に狙っていたらアガることが出来ました。出現率が高い四暗刻、国士無双、大三元以外の役満をアガれたのは初めてということもあり喜びもひとしお。そのソフトは保存したい牌譜を1局だけ残すことができる機能がついていたので、迷わず保存したのでありました。
それから十数年後、たまたまソフトを起動してその牌譜を見ることがあったのですが、これが実にひどい打ち回しで、配牌で緑一色と決めつけるあまり一色でないソーズ、あたりを不要な牌が他にいくらでもあるにも関わらず早々と切っていました。初心者によく見られる、手役の不要な決め打ち。狙いたい役が先に見えてしまうと、他のことが見えなくなってしまう典型例。「手役は狙わずに、まずはアタマ1つとメンツ4つをどこで作るかを考えましょう。」と初心者向けのアドバイスとしてよく言われるのもうなずけます。高校生時代の私のような打ち方をしている人を相手しているのであれば、私も同じようにアドバイスすることでしょう。
しかし、当時の私は初心者とはいえ、麻雀歴だけで言えば10年以上。手役を認知して、その手役に関連する牌を残すように打つというだけなら経験から出来るようになっていました。同じ初心者でも麻雀を覚えて間もない方であれば、そもそも狙える手役を探すこともおぼつかないかもしれません。その段階で、「手役は狙わない」とアドバイスするのは、麻雀を打つ楽しみを削ぐというだけでなく、勝てる麻雀を打つことを目指すうえでも得策ではないでしょう。
とはいえ、配牌の段階で目指すべき方針を立てようというのも、以前の私のように不要な決め打ちが多くなり勝ち味の薄い麻雀になりがちです。今であれば、「手役は見るけど狙うかどうかは別」と言うことにしていますが、これだと方針にするにはあまりに抽象的。麻雀に正解があるとしても、立ち位置は人それぞれですから、適切なアドバイスは千差万別。分かっていても難しいものですね。