第12期雀竜位・斎藤俊プロ(日本プロ麻雀協会)によるプロ対局の寸評がスタートしました。第2回は5月22日に行われた「雀王戦Aリーグ第3節」です。
雀王戦Aリーグ第3節
順位 | 氏名 | 第3節 | TOTAL |
---|---|---|---|
1 | 角谷 ヨウスケ | 92.9 | 241.5 |
2 | 鈴木 たろう | 106.0 | 201.1 |
3 | 小川 裕之 | 136.2 | 183.9 |
4 | 宮崎 和樹 | 59.8 | 170.9 |
5 | 鈴木 達也 | ▲158.2 | 131.6 |
6 | 金 太賢 | ▲1.3 | 123.9 |
7 | 橘 哲也 | 153.0 | 93.2 |
8 | 矢島 亨 | ▲3.9 | 69.9 |
9 | 佐久間 弘行 | 70.5 | 31.4 |
10 | 蔵 美里 | 24.2 | ▲35.4 |
11 | 仲林 圭 | ▲17.0 | ▲65.3 |
12 | 伊達 直樹 | ▲94.2 | ▲192.5 |
13 | 土子 貴智 | ▲11.0 | ▲205.1 |
14 | 鍛冶田 良一 | ▲131.0 | ▲363.9 |
15 | 阿賀 寿直 | ▲226.0 | ▲390.2 |
「当たり前のことを当たり前に行うことが出来るものは、賢者である。」
これは、私の好きだった数学予備校講師が好んでいた言葉である。
放送インタビューにて、仲林は自分の麻雀には特徴がなく普通であると語る。
麻雀の見どころについても、「普通のことを普通にやる、それを見てほしい」と。
南3局 ドラ
東:たろう 18900
南:仲林 34700
西:佐久間 29900
北:金 16600
佐久間捨牌
受ける仲林
ポン ツモ
迷うことなくを抜いた。ここで押すか降りるかは問題ではない。
ノータイムでの決断ということが大事である。
長考の末、現物を切れば降りたように見えるだろう。
ノータイムで切るとにを持ってきてのスライドやカラ切り等にも見える。
まだ聴牌しているかも、と思わせるには十分なほど自然な速度だった。
切った牌のあった場所に持ってきた牌を入れてカラ切りに見せる徹底ぶりである。
実に彼は賢者である。
もう一人紹介しておく。
南4局2本場 供託1 ドラ
東:仲林 32200
南:佐久間 33400
西:金 14000
北:たろう 19400
既に金からリーチ。和了で3着以上が確定。
流局間際、たろうは仲林に連荘させるべくアシストして聴牌を入れさせる。
さらに、たろう。鳴きがなければ最後の切り番。
ツモ
は完全安牌。しかし長考に長考し、を切る。
が4枚見え、も4枚見え、は生牌。
たろうは金の海底をずらし、もし仲林がまだ聴牌していない場合にアシストできるようにそう切ったのだ。
金自身がリーチ前にを切っており、シャンポン待ちが否定されるため、金に対し極めて安全度の高い牌になる。
どれだけの人がを打つ発想を持つだろうか。
あくまでトップを取るという姿勢。
そして目の前で出来る限りの当たり前のことを当たり前にする。
鈴木たろう。第3節を終え201.1Pで二位につける。
彼はゼウスであり、賢者でもあるのだ。
まだまだ始まったばかり。今後とも目が離せない
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日本プロ麻雀協会の最高峰リーグ、雀王戦Aリーグ。全10節・40半荘を戦い、成績上位3名が現雀王・木原浩一への挑戦権を得る。この対局の模様はスリアロチャンネルで生放送された。タイムシフトはスリアロチャンネル会員のみ5月29日23:59まで視聴可能。