麻雀ウォッチ

日本最大級の麻雀専門ニュースサイト!プロ雀士やイベントの情報をはじめ動画やマンガ・アニメ、アーケードゲーム情報まで麻雀関連の事柄全てを網羅します

大洋技研株式会社
「40年間反省し続けてきた男」赤坂ドリブンズ 7回戦(10月11日) マッチレポート

「40年間反省し続けてきた男」赤坂ドリブンズ 7回戦(10月11日) マッチレポート

CABO求人麻雀BarWatch

“牌品高”

麻雀発祥の地、中国の言葉で”パイピンカオ”と読む。

相手がいるからこそ、自分は麻雀を打つことができる。対局者に対して感謝の気持ちを持って品格のあるプレーを心がけようという意味。

 

「よろしくお願いします!」

自動卓の味気ない機械音をかき消す、一際大きな声の主は村上だ。

相手があってこその自分。村上はどれだけ強くなろうとも牌品高を忘れていない。

村上と近しい人は彼を”真面目な人間”と称する。

私とて例外ではない。今回のマッチレポートの執筆に際してのインタビューでの一幕。

 

―――最も印象に残っている場面を教えてください

村上「東1局の切りかな」

―――それは雷電の黒沢選手に放銃した局ではないですか

この試合、村上の好プレーは山ほどあった。

素晴らしいアガリ、素晴らしい放銃回避、それらを差し置いていきなり放銃した局をピックアップしてきた。

―――このシーンですね。連風牌のを攻守兼用で残して打とした場面

村上「そう。を使いたい意識が強すぎたな」

―――確かに、を1ブロックと考えると、ソウズは1ブロックでいいですからね

村上「でもツモは明らかにロスになる。を切るべきだったよ」

―――リーチと行きたいのであれば東を切って目一杯に構えたいですね

村上「あとさ、別の局も微妙なところがあってさ」

―――あの…できれば好プレーをお伺いしたいのですが…

私の言葉を遮るように村上は反省点ばかりを嵐のごとく列挙してきた。

村上「あの局も、それからあの局も、微妙な選択だったなあ」

―――インタビューが反省会場と化してますよ

やれやれと思う反面、噂に違わず本当に真面目な男だと感じた。

 

反省の嵐をやり過ごすと、村上はようやく好プレーについて語りだした。

村上「誠一さん(セガサミーフェニックス:近藤誠一選手)のリーチに放銃した局なんだけど、昔は打てなかった牌を打てるようになって成長したなって思ったよ」

  ―――この局ですね

村上「そうそう。誠一さんのリーチの打点が読めていて、通ってないスジも多かったから押したんだ。結果的にはこので放銃したけどね」

―――その読みの話、聞かせてください

村上「誠一さんがドラの局面でって手出しだったのね。ドラがトイツ以上なら、赤アリの場合、この手順にはならないと思ったの」

―――なるほど、とあったら、ドラ表示牌で1枚見えているを打ち、受けを残しながらになりそうだと?

村上「そう。で、赤牌が自分から2枚見えているから(近藤選手は)ほとんどドラを持ってないと読んだ。通っていないスジも8本あったから押した方が得だなって思ったの」

―――確かに、村上さんが終盤にテンパイ料のために押すイメージはあまりなかったです

村上「ここ数年、色々な研究会に参加して自分が成長できたなって思えた部分だね。今までは押せなかった」

―――成長ですか

村上「あとは成長で言うと、対局の内容とは関係ないことだけど、ため息と強打が減ったね」

―――過去に勝負所で力が入ったり、声が漏れたりするシーンは記憶にあります

村上「チームメイトのたろうさん(鈴木たろう)に言われて直したんだ。RTDリーグでも視聴者の方から多くの意見を貰って、このままじゃ良くないなって」

真面目だからこそ、対局にかける思いが溢れ出てしまう。過去の所作は村上らしくもあったが、やはり見ていて気持ちのいいものではない。村上はしっかりと反省して修正してきた。

―――南2局、”リーチ”が代名詞の村上さんですが、このチートイツは打でダマテンを選択してますね

村上「点数状況的にこの待ちではリーチに踏み込みにくかったんだよね」

―――宣言牌ががケアされるからダマにしたということですか?

村上「そういうことじゃなかった。字牌とか端牌とか、相手が押し返してきたときに余る牌でリーチしたかったな」

―――河の情報が少なすぎて他家からの真っすぐな押し返しが怖かったと?

村上「そうだね。押し返されたときは、使いにくい牌の方がアガりやすいからね」

結果は勝又選手からすぐにが出て3,200のアガリ。

―――南4局、私は役アリのテンパイを目指して打としそうですが、村上さんは中切りを選択しました

村上「がドラ表示牌で1枚見えてたんだよね。生牌ならを切ったと思う。役ナシでも両面ならリーチする予定だったから、目一杯に受けた選択だね」

この残しがハマって村上は2着で半荘を終える。

 

取材を終えて、かつて別の媒体で村上がこう語っていたのを思い出した。

村上「俺には天才的なゲームセンスとか、唐突な閃きみたいな才能が無い。だからこそ、人一倍研究して、麻雀と真摯に向き合っていないといけないんだ」

麻雀を始めて40年弱、研究と反省、トライ&エラーを何度も何度も繰り返し、村上は少しずつ前に進んできた。

断言しよう、明日の村上は今日よりも確実に強い。

なぜなら今日も村上は反省しているからだ。

この記事のライター

阿部 柊太朗
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
関西を中心に活動している95年生まれのゆとり世代。
Mリーグでは赤坂ドリブンズの記者として活動中。
目指すは未来のMリーガー!

新着記事

Return Top