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「1半荘25,000字、かなこノートとは!?」赤坂ドリブンズ越山監督インタビュー第2回(全3回)

「1半荘25,000字、かなこノートとは!?」赤坂ドリブンズ越山監督インタビュー第2回(全3回)

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Mリーグ2019開幕を直前に控えた9月27日、昨年の優勝チームである赤坂ドリブンズの監督、越山剛氏に話を聞いた。

「チームとしてどうやれば勝てるのかはいまだに全くわかっていない」赤坂ドリブンズ越山監督インタビュー第1回

2半荘分で1冊の本が書けるボリューム!?かなこノートとは!?

ここまでは主に優勝メンバー3選手について話してもらったわけだが、ここからは新規獲得した丸山選手について聞いていこうと思う。ドラフト会議後の記事では、「育成していくつもりで獲得した」と話していたが、丸山選手の育成についてどんなことやっているのだろうか。

越山 「まずは、『育成方針』についてチームの中で考え、徹底的に話し合いました。3選手はもちろんのこと、広報の(鈴木)聡一郎も含め、とにかく妥協せずに議論し続けた。どれぐらい徹底的にやったかというと、赤坂の居酒屋でみんなで話していたところ、閉店時間の夜3時に店を出され、その後店の前でもう少しだけ話をするつもりが朝の5時まで立ちっぱなしで議論していたというぐらい。空が明るくなってきて、おじさんが集まって何やってんだよって思いましたが(笑)、すごく有意義な時間でした」

チームの総力を導入して固めていった育成方針、それはどういったものなのだろうか。

越山 「コンセプトとしては『トッププロを作る』です。ここでいうトッププロとは、女流の中でトップという意味ではなく、Mリーグのトッププロたちと渡り合った結果、勝てるプロという意味。端的に言うなら、『女流版園田賢を作る』であり、『鈴木たろうを作る』であり、『村上淳を作る』ということ。だから、想像を絶するぐらいハードルが高いのは言うまでもなく、丸山に課しているタスクも当然過酷であり、今までにはなかったメソッドで育成しています」

今までになかったメソッドとはどういうことか。

越山 「従来、麻雀が強くなるためのメソッドって、『とにかくリーチ』とか『役牌は1鳴き』とか、『どちらかというと得をする』セオリックで画一的な行動を学んでいき、まず60点の選手を作ってしまおうという考え方だったと認識しています。確かにそのプロセスを踏めば60点までは簡単に到達するかもしれない。ただ、あまり思考せずにそのプロセスを踏んでしまうと、60点から100点へのルートが断たれてしまうのではないかと。僕たちが丸山に期待するのは、園田であり、たろうであり、村上という100点の境地に短期間でたどり着くことなので、必ずしも従来の育成プロセスが正しいとは限らない。園田なんかは、従来の育成方法では短期間で100点の選手にするのは無理だと強く主張していましたね。そこで、今までにはなかった方法で育成することにしたわけです」

その方法とは、具体的にどのようなものなのだろうか。

越山 「具体的には、かなこノート、後ろ見練習、4人での対局練習、天鳳など。この中で、丸山が使っている時間としては圧倒的にかなこノートが多いところが従来メソッドと大きく異なるところですね。育成自体は3選手でやっているんですが、上記メニューの開発、プライオリティー付けといった効率化などは全て園田が構築しました。トレーナーとしての役割を果たすのを見るにつけ、園田の才能を改めて強く感じた。ビジネスマンとしても本当に優秀なんだなと感服しました。そんな園田が強く主張したのが『100点の選手を作るなら、最初は打たせず、考えるための土壌をしっかり整えることを最優先すべき』ということだった。それがかなこノートにつながっています。具体的には、①Mリーグ2018の試合を全て観る→②1局の中で5つ前後の局面を選び、そのとき3人が考えたであろうことを丸山が考えて書く→③実際に考えていたことを3人が教える、という流れ」

ここで、実際のかなこノートを少しだけ見せてもらったのだが、まずはその文量に圧倒された。

かなこノートの一部。この画像30枚分、25,000字程度(A4で80頁ほど)で1半荘分になる。

 

越山 「ものすごい文量ですよね(笑) 聡一郎に聞いたら、2半荘分で大体麻雀本1冊分に相当すると言っていた。もちろん量だけでなく、質についても3選手が厳しくレビューしていて、これを主軸にトレーニングすることで、短期間で100点を目指すための考える土壌が出来上がると信じています。当然2019シーズン中も続けてもらうつもりです。あと、こうやって丸山が考えたことおよび教わったこと自体が育成という観点でドリブンズの財産になると思うので、どういう形になるかはわからないですが、麻雀が強くなりたいみなさんにも共有していきたいと考えています」

教えることは自分自身のために整理するプロセス

確かにかなこノートはものすごいコンテンツであり、ある意味ドリブンズにしかできない優れたトレーニング方法に見えるが、ここで1つ疑問が生まれる。これだけ手厚く丸山の育成を行っていて、3選手の練習時間が不十分になることはないのだろうか。

越山 「そういう心配を抱かれる方もいると思いますが、僕は全くそうは思っていません。例えば、プロゴルフの世界でも、これ以上おカネなんて要らないようなトッププロが雑誌などから取材を受けて上達の方法を教えている。競技者としてのスキルアップの観点、経済合理性の観点から、これっておかしいと思いません?」

言われてみれば、これ以上おカネが必要ないトッププロが、彼らにとっては微々たる額で、何より貴重な練習時間という財産を切り売りしているのはおかしいとわかる。

越山 「実は僕もおかしいと思っていたので、10年ほど前にプロに聞いてみたことがあるんです。そうしたら、こんな答えが返ってきた。『これは誰かのために教えているのではなく、自分のために整理している』のだと。彼らが言うには、アウトプットするというプロセスが、自分のために整理する時間になるのだそう。だから、彼らは自分が直近で取り組んでいることを取材として受けているとのことでした」

それが、ドリブンズにおける麻雀プロの育成にも当てはまるということなのか。

越山 「そう。ドリブンズも同じで、丸山に対して説明しているときに、3選手自身も整理しているはず。僕は、あの3人は今まで打ちまくってきたわけなので、打つ練習はあまり必要ないと思っているんです。それよりは、とにかく暗黙知の言語化や共有が重要で、昨年はそれを本人たち自身でやってきた。今年はそれを丸山を媒介としてやっているにすぎないんです。だから、丸山に対して教える時間を多く取っている今年は、むしろ練習の時間は増えています。整理の効果や暗黙知の共有について、実際にたろうも同じようなことを言っていて、正に狙い通りの効果が出ていると実感しているところです」

そこまで計画されての丸山指名だったとするならば、越山には一体どこまで未来が見えているのかと感服する。では、そんな越山は、監督として丸山の育成にどのように関わっているのだろうか。

越山 「まず、かなこノートを記す上での姿勢については最初に教えました。丸山には『自分よりもっと後輩、例えば来年最高位戦に入ってくるような新人に教えるために書き出すという視点で、きちんと考えて整理しろ。言われたことをトレースしてまとめるだけでは意味がない』と言っています。これは、先ほどの『教えようとすると自然と整理される』効果を狙ったもの。あとは、丸山のモチベーションを維持することぐらいですね。いくら良いメソッドでも、短期間で終わってしまったら意味がない。だから、継続させていくことについては監督の責任だと思っています」

▼次回「一番高い山に人と違うルートで登りたい」赤坂ドリブンズ越山監督インタビュー第3回(全3回)

■赤坂ドリブンズ、2019シーズンの初戦は10月1日(火)!19時からAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定となっています。

この記事のライター

麻雀ウォッチ編集部
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