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「プロをやめようと思っていた」内川幸太郎の転機 Mリーガー列伝(15)

「プロをやめようと思っていた」内川幸太郎の転機 Mリーガー列伝(15)

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 2019年、内川幸太郎プロはKADOKAWAサクラナイツからドラフト1位指名された。2018年度もドラフト候補として名前が挙がっていただけに、悲願のMリーガー入りとなった。

 アガるにせよ、オリるにせよ、手順を大事にしていることから「手順マエストロ」という異名を持つ内川プロには、麻雀プロ引退を決意していた時期があった。

満足したら、そこで終わる

 日本プロ麻雀連盟の門を叩いたのは2005年。「プロ入り4年目にB2リーグまで昇級できたんですが、それからは現状に満足してしまったのか、なかなか成績が伸びなかったんです」とタイトル戦でも結果を出せず、苦しい時期を過ごしていた。

 その現状を打破するため、自らを追い込んだ。「10年経ってもA2リーグに昇級できなかったら、プロをやめようと思っていました」と人知れず決意した。

 引退をかけた2014年、34歳になっていた内川プロは、目標として掲げていたA2リーグ昇級を決めた。

 この昇級が転機となり、2016年には、日本プロ麻雀連盟の森山茂和会長から「麻雀プロ日本一決定戦」の代表選手に指名された。大会では各団体(日本プロ麻雀連盟、最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、RMU)の代表として選出された全32選手中、個人順位2位という好成績を残し、日本プロ麻雀連盟に日本一の称号をもたらす原動力となった。

 その後はトッププロが招集された「RTDリーグ」をはじめ、メディア対局への出演依頼が舞い込むようになった。

今でも役立っている恩師の教え

 麻雀牌に初めて触れたのは6歳の頃。「ボードゲームが好きだったんで、麻雀はおもちゃの延長線上のような存在でしたね」と親戚が集まった時に父親達がやっているのを見て覚えた。

 サッカーと勉強に打ち込んでいた中学生時代、忘れられない恩師と出会った。「自分の視点だけではなく、相手から見た視点、さらに時間軸をずらしたり、状況を変えた視点も持つと、物事がおもしろく見えるよ」とひとつの物事を多角的に見る「複眼的思考」を教えてくれた塾の先生だった。

 この教えは、後に内川プロの麻雀の軸となった。「実はこの複眼的思考が、自分の麻雀にすごく役立っているんですよね」と相手の置かれた状況、河に切られた牌の意味等、あらゆる角度からの考え方を常に意識しながら対局するようになった。

 

小学校1年生から高校3年生までサッカー少年だった。「県大会ベスト4までは行ったことがありました。キーパー以外のポジションはすべてやりましたね」

 

99.9%か? 0.1%か?

 高校は県内でも有数の進学校に合格した。しかし「99.9%は進学するんですが、みごとに0.1%に入りまして」と浪人した。ただ浪人時代、天啓とも言うべき出来事があった。よく通っていた麻雀店のオーナーから「引退するから店やってみるか?」と聞かれたのだ。21歳になっていた内川プロは、知り合いと共同経営で雀荘をやることを決意し、大学には進学せず、麻雀店の経営者となった。

 そしてお店を繁盛させるためには「麻雀プロの資格を取った方がウリになる」と考え、24歳の時に日本プロ麻雀連盟のプロテストを受験。研修期間を経て25歳でプロ入りした。

「地元麻雀を教えてくれた人がもともと雀鬼流だったんです」という縁で、内川プロが経営していた麻雀店は、雀鬼こと桜井章一さんから支部として認めてもらったお店だった©ABEMA

経営者から麻雀教室の講師へ

 プロ入り後、平日は長野で麻雀店を経営し、金曜日の夜になると終電で都内へ移動。週末はリーグ戦に出場し、月曜日の始発で戻るという生活を2年間続けた。「麻雀が好きだったので大変だとは思わなかったですね。ただ、その2年間で雀荘経営よりも、プロ活動という新しいフィールドが面白くて仕方がなくなってきたんです」とB2リーグへの昇級を機に、共同経営者に麻雀店の権利を譲り、本格的にプロ活動を行うために上京した。
 プロ活動の基盤となる仕事を模索していた矢先、同団体で麻雀教室部門を統括していた、ともたけ雅晴プロから「麻雀教室を見学してみないか」と声をかけてもらったことがきっかけで麻雀教室講師の道へ進んだ。「男女問わず高齢の生徒さんが多かったので、人生のいろんなことを教えてもらったり、ときには相談に乗ってもらったこともありました」と麻雀は教える立場でも、人生に関しては教わる立場だった。

Mリーグによって生徒さんの質問にも変化が?

 近年は女性限定の麻雀教室も受け持つことになった。「20~40代中心のその教室での話題は、Mリーグに関することがほとんどです。先週の誰々プロのあの一打はどういう意図だったのでしょうか?といった質問が来る時もあるぐらいです」と新たな麻雀ファン層も確実に広がっている実感を持つ。
 生徒さんから対局番組の楽しみ方を聞かれると「4人分の手牌を見るのは大変なので、応援する選手を1人みつけてその選手の手牌を見ていくほうがより楽しめますよ」と伝えているそうだ。
 Mリーガーになって以降、KADOKAWAで麻雀漫画の監修も務めている。「まさかラブコメ漫画の監修をするとは思いませんでした(笑)。鳴かせてくれない上家さんという作品なんですが、かわいい絵柄なんでとくに若い女性に読んでほしいですね」とあらゆる角度からの麻雀普及にも尽力している。

 「熱くなるタイプなので、点棒をたくさん持っていても、ひどいフリ込みをしたとしても、どんな状況においても冷静に落ちついた様で麻雀を打っていきたいですね」と中学生の時に学んだ複眼的思考に磨きをかけ、泰然自若に戦い続けていく。

麻雀教室という縁で、トランポリン教室「CRAZY-TRAMPOLINE(クレイジートランポリン)」がKADOKAWAサクラナイツのスポンサーになった

内川幸太郎(うちかわ・こうたろう)プロフィール

生年月日:1981年5月6日
出身地:長野県松本市
血液型:O型
所属団体:日本プロ麻雀連盟
愛称:手順マエストロ
勝負めし:カレーうどん
著書:「現代麻雀の絶対手順」(マイナビ出版)
主な獲得タイトル:第35期十段位ほか

内川幸太郎 年表
年齢 主な出来事
1981 1歳 長野県松本市に生まれる。小中高の9年間はサッカー部に所属
1993 12歳 中学時代に恩師となる塾講師に出会う
2001 20歳 地元で経営していた麻雀店は、麻雀界のカリスマである桜井章一さんから雀鬼会の松本支部として認められていた
2005 24歳 日本プロ麻雀連盟22期生としてプロ入り
2014 34歳 日本プロ麻雀連盟A2リーグへ昇級
2016 36歳 第1回麻雀プロ団体日本一決定戦 優勝
2018 38歳 第35期十段位を獲得
2019 39歳 麻雀最強戦「男子プレミアトーナメント 王者の底力」優勝
2019 39歳 KADOKAWAサクラナイツよりドラフト1位指名を受ける

 

◎写真:佐田静香(麻雀ウォッチ) 、インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

 

この記事のライター

福山純生 (雀聖アワー)
雀聖アワー代表。
マージャン普及を目的とした様々な事業を展開。
好きな手役は門前混一色七対子。
雀聖アワーオフィシャルサイト:http://8141.info/jansei/

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