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麻雀観戦記者 鈴木聡一郎 「ニュースがライバル。そう思って書いてます」【マージャンで生きる人たち 第15回】

麻雀観戦記者 鈴木聡一郎 「ニュースがライバル。そう思って書いてます」【マージャンで生きる人たち 第15回】

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将棋や囲碁同様、麻雀にも観戦記が存在する。『第一回麻雀プロ団体日本一決定戦』『モンド麻雀プロリーグ』『RTDマンスリーリーグ2016』『101競技連盟 順位戦』他。2016年に執筆した麻雀観戦記の数だけでも130本以上。公認会計士として働きながら、麻雀プロとしても活動中。団体の枠を超え、現在日本でいちばん麻雀観戦記を執筆しているサラリーマン麻雀プロ、鈴木聡一郎さんに仕事論を聞いた。

 

鈴木聡一郎(すずき・そういちろう)プロフィール

1983年、千葉県生まれ。O型、さそり座。早稲田大学卒。公認会計士試験合格。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。第1期丸雀最高位。書籍『迷わず強くなる麻雀』(鈴木たろう著/鈴木聡一郎編/講談社刊)絶賛発売中。

 

観戦記者になるためにプロ入り?

「プロ入りは2004年。観戦記者になりたくて、麻雀プロになったわけではありません。当然、選手としてリーグ戦で闘っていこうと思っていました。元々競技麻雀には興味があり、沖野立矢プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会)のお店に遊びに行っていたとき、プロテストを受けてみないかと声をかけてもらったのが縁です。最高位戦に入会はしたものの、Aリーグの試合を目の当たりにし、これは勝てないなと感じたんです。押し引き、手組み、場況読み等、あらゆる場面で圧倒されました。自分にはまだ早かったと思ってしまったんです。これは、もっと勉強してからでないと歯が立たないぞと。ただ、選手たちがやろうとしていること、考えていることの一端を後追いで理解することはなんとか出来たんです。でも実際自分が同じように打ち切れるかと言えば到底出来ない」

「例えるなら、サッカーファンは、サッカーが上手くなくてもいいことと同じです。一流のサッカー選手と同じ華麗なプレーが出来なくても、プレーの意図を汲むことは出来ます。私の場合、最高位戦Aリーグの選手たちと同じように、プレッシャーのかかる舞台では打ちきれないと感じたわけです。それで翌2005年、選手としての活動を一時休止しました。とにかく観て学ぼうと思ったんですね。その後、選手としてリーグ戦に復帰する2015年まで10年間、観戦は続けていました」

 

一番最初に執筆した観戦記とは?

「2007年に行われた第15期發王戦準決勝の観戦記が最初です。最高位戦入会から3年目、23歳のときでした」

「その頃は、櫻井秀樹プロ(日本プロ麻雀連盟)と同じ職場で働いていました。櫻井プロは日本プロ麻雀連盟が発行していた『月刊プロ連ニュース』という新聞を職場のお店に持ってきてくれたんです。その新聞に掲載されていた観戦記がとてもおもしろく、仕事中ずっと読んでました。対して最高位戦の観戦記は速報性、面白さ、ともにかなり落ちると感じていました。観戦記は最高位戦の弱点の1つだなという課題感を持ってましたね」

「僕なら、もう少し速く、もう少し面白いものが書けるんじゃないか。挑戦する価値はある。そう思ってはいたんですが、リーグ戦等での実績がないので、なかなかチャンスはもらえませんでした。例えば、モンド名人戦にも出場している金子正輝プロが観戦記を書くことになれば、誰もがどんな質問にも答えてくれるとは思います。でも、よくわからないCリーグの若造に言ってもわからないだろう。そう思われても仕方がないし、自分が逆の立場ならそう思うかもしれません。それで、報酬もいらないのでとりあえず書かせてもらえませんかと、沖野プロに相談したんです。そうしたら理事会で提案してくれまして。話を通してきたからやってみろということになったんです。ただしチャンスは一回。本当に書けるのかという疑問や心配の声はやはりあったらしく、一回で誰もを納得させられる原稿を書いてくれと言われました」

「当時はまだ対局映像も無く、決勝戦だけは牌譜(将棋で言えば棋譜)を採っていた時代でした。とにかく持てる雀力と文章力を総動員し、面白い観戦記を速く書く。そんな思いを抱いて挑みました。そうして、第15期發王戦準決勝の観戦記を1週間で書き上げました。それがなんとか認められ、引き続き決勝、そしてその後もオファーを頂けるようになったんです。リーグ戦等の実績がないのに観戦記を書かせてもらえたのは、僕が最初だと思います」

 

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「須田良規プロ(日本プロ麻雀協会)の観戦記は、親切丁寧でまさにお手本。あと来賀友志先生の観戦記も大好きです」

 

2007年以降、どんな対局を中心に取材していたのですか?

「仕事としてではないんですが、よく観戦していたのは、最高位戦日本プロ麻雀協会の対局ではなく、日本プロ麻雀連盟の対局でした。なかでも土田浩翔プロの対局はよく見ていました。当時、土田浩翔プロは日本プロ麻雀連盟に所属。数々のタイトルを獲得し、最も結果を出していたプロでした。しかも自分の考える麻雀とは異なる麻雀で、この人の考えている〝流れ〟とはなんなんだろうか。観戦記者としても、いつの日かプレイヤーとして対峙するとしても、土田プロの考え方を理解しておきたい。そう思って2年近く観戦していました」

 

どういったスタイルで書かれているのですか?

「対局映像の無かった時代は、対局会場で後ろ見しながらメモをとります。牌姿メモは、萬子は漢字、筒子は丸囲み数字。索子は数字。基本的には時系列を追いながら、気になったポイントや質問したいポイントがあればリストアップしています。見逃さないよう気をつけているのは、リーチの有無と最終形。最終形がわからないと、何が起きた局なのかがわからないので、質問も出来ません。細かい部分は後で牌譜で確認することも出来ますが、なるべくその場で聞いています。現在は映像対局がほとんどなので、対局会場でモニターを見ながら、PCでメモを取ってます」

 

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PCと執筆メモ。「ここが凡人と異なる。選手たちのそんな部分を拾えたらいいですね」

 

執筆にあたって意識されていることはありますか?

「まずは見出しが目を引くかどうか。ネット上の記事になるので、これがすべてと言っても過言ではないと思ってます。その対局映像を観戦していた人、もしくは興味のある人は、見出しがなくても観戦記を読んでくれるかもしれません。しかし、大事なのは、見られなかった人、もしくは全く知らない人に、少しでも興味を持ってもらえるかどうか。そこが勝負になります。麻雀のニュースを読むのか。芸能人のエンタメ情報を読むのか。詰まるところは、時間の奪い合いになるわけですから、見出しにはいつも悩んでます」

「それともうひとつ。必ずメモするのは間合いと対局中の表情です。間合いは細かく言えば、ワンテンポ、小考、中考、長考と分けています。表情は苦悶や安堵など。牌譜には残らないことを伝えるのも観戦記者の役割です。今は映像に残ることが多いですが、基本的には本文に入れるようにしてますね」

「最近はAbemaTV(アベマティーヴィー)からオファーを頂くことが多いんですが、AbemaTVの観戦記では、とにかく簡潔に、麻雀をあまり知らない人であってもわかってもらえる内容を心がけています。そういう観点で言えば、僕でなければ書けない観戦記というわけではないのかもしれません。ただ、書くスピードと簡潔に短くまとめる力、そしてそれを1年間継続して書けること。そういった制限があるとき、たまたまそれらを持っていたのが僕だったわけで、そこが強みかなとは思っています。したがって僕自身の勝負哲学などを入れるつもりはありません」

「そして、その観戦記に対するニーズは何かということは必ず考えてますね。仕事のコンサル業もそうですが、誰のために、何のためにを考えています。たとえば、AbemaTVのRTDリーグだったら、幅広い層に向けて、もう一回放送を見たくなってもらえるような、ライトで興味を引く内容にまとめます。最高位戦からオファーを頂いた場合は、競技志向の強い読者の方が多いので、マニアックな情報を入れます。101競技連盟からオファーを頂いた観戦記は、最高位戦よりもっとマニアックな内容に仕上げるようにしています」

 

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