システム10
(1)は良形のみ手テンパイで無スジ勝負とほぼベタオリとの比較になりますが、(2)はをスルーして、危険牌を切らずにテンパイできる可能性が残る1シャンテンとの比較です。収支戦想定なら(1)はまだ押せるとみますが、(2)ならスルーが無難とみます。(1)についても、無スジを通すほど次の無スジの危険度が上がるので最後まで押すとは限らないことに注意が必要です。
良形テンパイなら安手でも基本は押しますが、あくまで他の選択肢との比較。鳴いてテンパイに取れる場合はベタオリとの比較ではなく、スルーした場合との比較になるので、リスクを負ってテンパイにとるくらいなら、より好条件でテンパイが取れる可能性を残してスルーというケースも出てきます。
システム11
72ページの手牌はシステム7の時と違っては通常の無スジ。これなら基本は押すところです。
ところが74ページとなると残りスジが6本。システム5で触れられたように、通ればテンパイ料確定だとしても残り5本となると無スジ勝負が厳しいのですから、(1)のような安手であればこのあたりでオリを考慮することになりそうです。
(2)のようにドラ3テンパイとなればさすがにかなり待ち牌が絞れていても基本は押しとみます。しかし終盤でかなりの危険牌を通すとなるとアガリ率自体も相当落ちるので、良形高打点テンパイであっても絶対に押すということにはなりません。
仮に相手の待ちが必ずリャンメンであるとして、残りスジ10本なら無スジの放銃率が10%、9本になっても約11%と1%しか上がりませんが、残りスジ5本なら20%、4本になると25%となるように、残りスジが絞れれば絞れるほど、次の無スジを通した時の放銃率が跳ね上がります。よって、ギリギリ押してよいラインの少し手前で止めるより、ラインを超えてまで押してしまう方が損失も大きいと考えられます。「この手なら降りない」と決めつけてしまうと、ラインを超えてからも押してしまいかねないのでなおさらです。テンパイなら基本押しという基準から入った方は、特に残りスジが少なくなってきた場合は自分の感覚より少し手前で降りを考慮するようになると戦績が改善されるのではないでしょうか。
オリ本 ~天鳳位が語る麻雀・守備の極意~
本書は第9代天鳳位であるしゅかつ氏が「オリ」について語った一冊です。とはいえ「相手から攻め込まれた瞬間」にどうやってオリるかを解説したものではありません。その前の段階や後の段階の技術(=大局観)を総合的に説明することで、押し引きを点ではなく線で捉えられるようになっています。それと同時に、「こんなケースでは思考停止でベタオリで良い」といった考えなくて良いケース、というのも説明しています(=システム化)。これらの大局観とシステム化の両輪によって本書はより汎用的なオリの技法を説いたものとなり、これまでの麻雀の守備戦術本とは一線を画す、ハイレベルな内容になっています。本書で現代麻雀の最高レベルの「可能な限り失点を防ぐ技術」を体得してください。
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