- 『ネマタの第十期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第十期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第一節一回戦2卓
東2局2本場
自分で切っている牌を1枚残しても聴牌時に切ればフリテンが残らないのがチートイツ。将来全員に安牌になりやすいを残し、将来全員に危険になりやすい切り。
即リーチでよさそうですが一旦ダマから2巡後にツモ切りリーチを選択。メンツ手でここまでを引っ張る手順が考えにくいのでチートイツと読まれやすい。チートイツ狙いでも途中まではメンツ手と平行して狙うことが多いので搭子が残りやすく、周辺の単騎を想定されやすいことから周辺以外の牌を引くまで待ったというところでしょうか。
東家がリーチに降りておらず、クイタンにしては中張牌が見え過ぎているうえに残りの役牌はダブのみ。止めた方がよさそうです。
南2局0本場
残り2枚ですが打点上昇効率の良い手で、東家北家に使われない可能性が高いことから待ちとしてはさほど悪い部類ではないとみてリーチ。
東家はを鳴いて三色ドラ3聴牌。西家がリーチの現物を切って11600の和了となりましたが、空切りの是非が気になるところ。聴牌時に降りているように見せる空切りは常套手段ですが、今回はが手の内にあったことを知らせると手牌構成が大きく絞られることがあります。
を鳴いたのが単に一発消しのためだけだったとしたら、よりも現物のが先に切られるはずです。が空切りで、が雀頭にも関わらず役有り聴牌となれば考えられるのは567三色。しかも聴牌するまではが必要だったことから、からの切りでカンはむしろ本線です。
西家もドラ3の勝負手聴牌である以上が止まらないのは致し方無さそうですが、「他のケースが考えにくい手順」であるのも確か。これが安手聴牌であれば止めて然るべきだったように思います。
南3局
も東家北家には安牌になりやすく、も東家北家に安牌になるとは限らない。これなら切りで目一杯構えるところ。目一杯に構えたことで次巡ツモで打(南家にが使われやすくは使われていない)。更にツモで聴牌が入ります。雀頭を振り替える変化が残るのも目一杯に構えるメリットの一つです。
北家がダントツにつき加点のメリットが薄いのでダマに構えましたが、東家が形テン濃厚な仕掛けを入れたところでリーチに切り替え。東家を降ろして局を流した方が2着を維持しやすいとの判断。ツモ切りリーチが半荘に2回も出て来たのは偶然ですが、Suphx本の筆者ということもあってか意識しがちになります。
しかしツモ切りリーチによってチートイツドラドラ聴牌のラス目南家もツモ切り追っかけ。高打点ダマ聴牌者の追いかけリーチを誘発してしまうのもリーチのデメリットの一つ。ヒヤリとする展開になりましたが、結果は満貫出アガリで南家の飛び終了となりました。